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【SNK】K’と○○【KOF】

 二代目主人公であるにもかかわらず、「KOFが嫌い」という属性のため、参戦動機を作り出すのに毎回苦労するK’。前回に続いて彼の周辺人物についてつれづれなるままに。

 K’にとってのマキシマは、ライバルでも宿敵でも先輩でも恋人でもなく、クリザリッド(さらにいうならイグニス)の計画がなければ出会うことすらなかったかもしれない同僚(?)である。このふたりが初めて顔を合わせたのも、『99』に参戦するあの作戦だったらしいので、つき合いとしてはさほど長くはない(現実の時間でいうと登場から20年以上たっているのだが、それは置いておく)。
 最初からネスツ壊滅を目標にしていたマキシマにとって、クリザリッド撃破後になりゆきで逃亡生活をともにすることになったK’は頼もしい戦力だったろうし、K’にとっても、マキシマはあれこれ面倒を見てくれる生きたスマートスピーカーみたいなものだったと思う。『2001』終了時の、ネスツとの戦いを乗り越えたあとですら、ふたりの間に友情は生まれていなかっただろうが、自分ひとりで逃亡できるにもかかわらず、何だかんだでいっしょに行動しているのは、K’もマキシマも、たがいのことをある種の戦友か、それこそ相棒だと認めているからだと思う。

 他方、K’の宿敵、もしくはライバルとして登場し、最終的に仲間に落ち着いたクーラが、わりとすんなりそのポジションを得られたのは、偶然なのか計算なのか、K’たちが疑似家族的なキャラ構成になっているからではないかと思う。留守がちだが生真面目な父(=ウィップ)、何だかんだで頼れる母(=マキシマ)、反抗期の息子(=K’)だけだとギスギスしすぎてバランスがよくないが、そこに無邪気な妹(=クーラ)が入ると家族が長持ちする。みんなの心のオアシス
 また、ただ不愛想なだけのはずのK’に、クーラとのやり取りによって可愛げ(?)のようなものが生じたおかげで、彼の刺々しさがややマイルドになっていることも見逃せない。超オアシス。最近はK’の参戦動機まで作ってくれるしな。

 そして、クーラが華々しくデビューした『2000』の翌年、ネスツ編最終章となる『2001』に登場したK9999は、その外見、CV、演出などのすべてが、今となってはかなり危険な匂いのするオマージュの塊であり、どうしてもそのことばかりがクローズアップされがちなのだが、ポジションとしてはK’のライバルというより完全に噛ませ犬だった。これはおそらく、設定上、K9999がそういうピエロ役をイグニスから割り振られていたからだと思う。
 K9999はK’を強烈に意識し、執拗に狙っているにもかかわらず、K’のほうでは彼を単に面倒なヤツくらいにしか思っていない。強い弱いでいうなら間違いなく強いが、「おっ、K9999だな」と認識してもらえず、「誰だかよく知らねえがめんどくせぇな」ぐらいにしか思ってもらえない。京に対する庵のような存在になれず、いなくてもまったくさしつかえないというか、あつかわれ方がとにかく軽い。それがK9999。
 その事実がK9999をさらに苛立たせ、能力をゆがんだ形で増大させることになるのだが、結局それも、K’を最強の人類として完成させるために必要な障害(=大きな経験値)として彼を用意したイグニスのシナリオ通りだったのだろう。
 現に『XV』でクローネンとして再登場するまで、K9999はまったく表舞台に出てこなかったが、K’はたぶんそのことに何も感じていなかったと思う。一応、試合前の掛け合いはあったが、それも特に劇的だったわけではなく、K9999に毒づかれたからK’が毒づき返しただけだった。

 ちなみに、クローンとしてネスツのラボで生まれたはずのK9999には、本来ならK’との間に何の因縁も存在しない。にもかかわらず、K9999がK’をあそこまで意識するのは、ネスツの人間たちがクローン兵士として不完全な自分より、裏切り者であるはずのK’のほうを高く評価しているからである。その事実がどうにも我慢できないK9999は、K’に対する嫉妬と劣等感から激しく彼を敵視するようになった。ことさらK’を裏切り者、不良品と呼び続けるのは、K’よりも自分のほうが強く高性能で、K’こそが不良品なのだと思い込みたいK9999の願望なのである(というような説明を『2001』のノベライズの時に聞いたことがある)。

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