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【SNK】二次二次ダンス【SNK】

 二次創作とかの話。あくまで個人の感想、個人のスタンスな。
『KOF』シリーズには出自がさまざまなキャラクターたちがいる。ゲームジャンル的にいって専業の格闘家が多いのは当然だが(リョウとかジョー、大門、ラモンとか)、そうではないキャラも少なくない。エージェントという謎の職業兼格闘家、アイドル兼格闘家、秘書兼格闘家、社長兼格闘家、チンピラ兼格闘家、ギャング兼格闘家、恐竜兼格闘家、あるいはブーメラン兼格闘家……などなど。さらには軍人や忍者、船大工とかサイボーグとか、もはや格闘家の看板すらかかげていない者もいる。

兼業格闘家の代表格、ダイナソーマスク。掛け持ちはたいへんグリね。

 という具合に多種多様なキャラが集う『KOF』で二次創作を書こうかな、と思った時に何を書くかといえば――あくまでぼく個人のスタンスなのだが――そのキャラクターの格闘家としての部分より、そうではない部分、日常的なものを選ぶ。
 さんざんノベライズをやってきてこんなことをいうのもアレなのだが、少なくとも二次創作では、お馴染みのキャラクターたちの格闘シーンとかあまり書きたくないからである(問題発言)。格闘シーンを書くにしても、それはやはりストーリー的な必要性があってのことで、格闘シーンを書くための二次創作はあまりやりたくないというか……ぶっちゃけ、キャラ同士の会話とかのシーンのほうが、読むのも書くのも楽しくない?

 とまあそういうことを考えた場合、ぼくの好きな日常的なシーンをチョイスしやすいのはどういうキャラかといえば、それは専業格闘家より兼業格闘家なのである。
 たとえばジョーは、KOFに参戦していない時は何をやっているのか? 本業がムエタイ選手だから、やはりムエタイの試合やそれを見据えたトレーニングだろう。だがいや待て、そんな汗臭い日常、ホントに面白いか? 柔道家のゴローちゃんしかり、空手家のリョウしかり、彼らの日常はすべからく汗臭く、地味であろう。
 なので、どうせ描写するならそういう汗臭くない部分にしたいわけだが、どうしても専業格闘家は汗臭い比率が大きくなる。同じ空手家でも、ふだん本当に稽古しかしていなさそうなリョウに対し、父親の手伝いでビジネスマンとしての横顔も持つロバートは、汗臭さがかなり低い。いい換えるなら、ゲームでは描かれないような側面を切り取りやすい。

ロバート以上に汗臭さから縁遠い空手家。リョウに日常感をあたえるブースターでもある。

 つまるところ、リョウやジョーや大門といった、人生の9割くらいを試合だの稽古だのについやしていそうなキャラは、日常を切り取るなら残り1割の中からひねり出さなければならない。その意味で、格闘家以外の側面を持つキャラのほうが、二次創作はやりやすい(とぼくは思っている)。

 ただ、だったら格闘家でないキャラなら二次創作は簡単なのか? というと、かならずしもそうではないような気がする。たとえば元テロリスト一味は、現在の公式設定がどうなっているのかはよく判らないが、ネスツが崩壊した今でもそこはかとなくふんわりと逃亡生活を続けているように見えて、だとすれば彼らの日常の1コマを描いて楽しいものになるか? といわれると、首をかしげざるをえない。要はそのキャラに日常的な日常(といういい方もおかしいが)があるか、それが想像できるか? ということが重要なのだと思う。
 たとえば同じエージェントというくくりでも、マリーなら何となく日常を想像できるが、セスではそれが難しい。このへんは、初登場から現在にいたるまでの間にさまざまな媒体で描かれてきた設定的な分量の差もあるのだろうが、とにかくファイターとしての側面以外の日常を想像する余地の多いキャラほど二次創作がやりやすい、というのがぼくの考えである。

 なので基本、ぼくは庵の二次創作はやらない。庵というキャラは、日常を描けば描くほど俗になってしまうというか、描かずに放っておくほうがいいところの多いキャラだとぼくは思っていて、極論、「こいつ京の目の前にいる瞬間以外はこの世界のどこにも存在してないんじゃないの?」と思うくらいに浮世離れしているほうがいい。
 もちろん二次創作である以上は、ひとりひとりのファンが好きなように好きな庵を描く、好きなリョウを好きなように描く、大好きなブーメランを思うがままに描く自由があるわけで、だからこれもあくまでぼくのスタンスでしかない。

 ……まあ、ときどき「ヘチマ! ヘチマァ!」みたいなすごくふざけた庵を書きたくなることもあるわけだが、あれはあれで自分の中では別枠だと考えている。
 つまり何がいいたいのかというと、今年もこつこつと二次創作を書いていこうかな、という話。

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