見出し画像

【SNK】可能性のハナシ【KOF】

 2021年の11月頃、これは某Discodeでぼくの推論として持ち出した話。

『97』で初登場した七枷社の勝利ポーズの中に、どこからか鷲が飛んできて腕に止まるというものがある。そしてこの鷲には「タツウル」という名前が設定されていた(意味は知らん)。
 ある時期からWikiなどで、このタツウルの漢字表記が「琥珀」だという記載が見られるようになったのだが、ぼくはこれを疑わしいと考えている。といっても、別に某所で「嬉野秋彦も勘違いしていた」などと書かれていたのを根に持っているわけではない。ぼくがこれを疑わしいと考えているのは、タツウルがゲーム画面に登場した『97』当時(『98』以降タツウルは登場しない)、タツウルの漢字表記が「琥珀」であると明記していたムックや雑誌を見たことがないからである。
 もちろん、当時のぼくが世に出ていたその手のテキスト媒体のすべてに目を通せていたわけではないのだが、資料としてはもっとも信頼できる(はずの)『ネオフリ』にそういう記述がなかった時点で、少なくともこの時点では、「琥珀と書いてタツウルと読む」みたいな設定はなかったと思われる。

 だから、ぼくが小説の中で琥珀を本当の意味での琥珀として出したのは勘違いでも何でもないんだよ! 何より、メーカーサイドのチェックもそれで通ってるんだよ!
「この大切なものの琥珀って、あの石の琥珀のことですか?」
「はい、そうです」
 って確認取った上で書いたんだよ! だからぼくに罪はない!

 ハァハァハァ……あぁあ。

 ではなぜ、どこから「琥珀=タツウル」という話が出てきたのか。実をいうと、「琥珀=タツウル」であると読めるムックが、ぼくの知るかぎり、たった1冊だけある。シリーズ15周年となる2009年に刊行された、『ザ・キング・オブ・ファイターズ キャラクターエンサイクロペディア』である。公式オンラインショップで販売されていたこともあり、新しく入ってきたファンにとっては、歴代キャラクターについてそれなりに詳しく知ることができるムックといえよう。
 このムックの表社のページに(持っている人は52ページを開いてくれたまえ)、社を語る上でのキーワードとして「琥珀」の項目があるのだが、その説明はタツウルのものとなっている。厳密にいえば「琥珀=タツウル」と書いてあるわけではないのだが、読む人が読めば、
「え? 社のペットの鷲は琥珀って名前だったのか。……あれ? そういえばあの鷲にはタツウルって名前があったはず……ということは、そうか、琥珀と書いてタツウルと読むんだな!」
 と解釈するだろう。

 ただ、1997年当時に世に出ることのなかった「琥珀=タツウル」設定が、2009年になって突如として出てくるなどということがありえるのか? 10周年に当たる2004年に刊行されたムックにもそんなことは書いていないのに? その後の5年間の間に「タツウルの漢字表記は琥珀にしよう」ってスタッフの誰かが思いついたのか!?
 っていうか、2009年ならぼくも『02UM』や『XIII』の開発のお手伝いしてたじゃん! でもそんな話まったくなかったじゃん! じゃんじゃん!

 ハァハァハァ……あぁあ。

 上海の武神はさて置き、そこでぼくは考えた。これはこの『~エンサイクロペディア』の誤植なのではないかと。本来、社のキーワードとしてここに書くべき項目は「琥珀」ではなく「タツウル」だったのではないかと。もともとの社の公式プロフィールにはタツウルに関するものはなく、もしタツウルについて書くならこのキーワードの部分で補完するしかない。
 しかしそこで、タツウルの説明文につける項目名を琥珀にしてしまうというミスが生じた。これがもとで「琥珀=タツウル」説が広まったのではないか――というのがぼくの推測である。

 これが正しいのか間違っているのか、このムックを制作した編プロとSNKの資料的なやり取りを見るくらいのことでもしなければ確認できないので、実質的にはもはや確かめようはない(と思う)。
 ただ、近年リリースされた『KOFG』の社のプロフィールでも、「琥珀=タツウル」と明記している。さすがに正式にライセンスを許諾されてゲームを作っている開発会社が、Wikiをソースにしてキャラのプロフィール欄を埋めるということはないと思うので、もしかしたら、2004年から2009年の間に「タツウルの漢字表記は琥珀な! 決まり!」なんてことがあったのが、案外真実なのかもしれないが、結局はよく判らない。誰か真相を知っている人がいれば教えてほしい。
 というか、そもそもぼくが「ムックの誤植では?」などという疑念を持ってしまうのは、プレイモア時代のSNKのこの手のチェックがあまりに杜撰だからである。10周年記念ムックでやらかした、

 好きな食べ物:サングラス

 みたいな無茶苦茶な誤植と、それを避け攻撃よろしく華麗にスルーして通してしまったSNKのチェック体制を疑いの目で見るのは当然のことといえよう。……そういや『MI』では、ゲーム中のキャラクター表記のスペルすら間違ったままリリースしてたしな(誰も気づかなかったのか、MANIAX版でも修正されてなかった)。

画像1
ミニョンのスペルは「MIGNON」が正解。

 ……何だかこのままだとSNKをけなしただけで終わってしまいそうなので、最後に社に関する豆知識をひとつ。

 社たちのバンドには、オロチチームの3人以外にもメンバーがいる(ただし、ふつうの人間)。

 たぶんこの設定も、今となってはなかったことになってるだろうけどな!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?