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お笑いコンテストライブ『OSPORTS』における将来的なスポーツ化(競技化)に際するルール設定考察


「もっとも大喜利が面白い者を決めるスポーツの祭典」お笑いコンテストライブ『OSPORTS』

2023年9月11日に東京・座高円寺2で行われたこちらの新ライブ。

↑ 配信へのリンクです(2023年9月25日(月) 23:59 まで)

【主催・白武ときお 大喜る人たち ライブマン】という、東京のライブシーンにおけるいわば磐石のオールスター布陣で主催され、出場者もイベント初回とは思えないようなトップランナーが勢揃いし、当然イベントとして非常に面白く、かつこれまでの大会形式の大喜利系コンテンツの中でも競技化の方向性にかなりの可能性を見たものとなりました。

ついては、イベント冒頭に
「パリ五輪には間に合わずとも将来的にオリンピック競技に」
というような言葉もあったことから、今大会を起点とした、『OSPORTS』の将来的なスポーツ化(競技化)に際するルール設定に対する考察を試みてみました。


「スポーツ」とは、一般に「一定のルールに則って技術の優劣を競う活動(競技)」というように定義されます。


以上は当日に発表されたのが当イベントのルールです。
こちらより、
『OSPORTS』は、スポーツ競技として、
【個人競技】(=個人の成績だけで勝負を決めるもの)

【採点競技】(=相手とは同時に対戦はせず、優劣が決まるもの)
として分類されます。
これは、スポーツ競技としては、体操個人・フィギュアスケート・水泳飛込競技と共通するものとなります。

今回、本大会の競技ルールとして素晴らしい部分として、このように
「個人競技」の「採点競技」にあたる競技である
と明示できることがあると考えます。

そして、今回の『OSPORTS』のルールについては、
『(個人において)限られた時間と試技数の中でジャッジによる採点を競う』
という形式のスポーツであると定義できます。

このように、競技として定義化でき、それが現行のスポーツ競技と共通して分類ができるというのも大きなポイントになるかと考えます。

スポーツにおけるルールを形成する大きな要素として、
・競技の切り替り・終了(結果確定)の規定
・競技の優劣の規定
があります。

『OSPORTS』については、
競技の切り替り・終了(結果確定)の規定→時間・試技数
競技の優劣の判定→ジャッジによる採点の高さ
というように定義付けられます。

同様の定義を、例えば他の競技と照合すると、
※サッカー
競技の切り替り・終了(結果確定)の規定→時間(45分×2=90分)
競技の優劣の判定→ゴールに正当にボールが入った回数(物理的回数)の多さ
※フィギュアスケート
競技の切り替り・終了(結果確定)の規定→時間(ショート2分30秒〜50秒・シングル3分50秒〜4分10秒)
競技の優劣の判定→ジャッジによる採点の高さ
※ボクシング
競技の切り替り・終了(結果確定)の規定→時間(3分×15=45分等)およびノックアウトなどの勝敗確定要件の充足
競技の優劣の判定→ノックアウトなどの勝敗確定要件の充足、充足がない場合は終了時におけるジャッジによる採点の高さ
というように定義付けられます。

この点において、ルール設定等により、本『OSPORTS』はオリンピック競技的な公正さを含むものとして立脚点が考慮されており、従来の大喜利的競技を目指したものと比しても、競技として一線を画せるフォーマットになり得るものだと考えられます。
(延長等、勝ち上がりをエクストララウンドで確定されるケースが避けやすいルール設定になっているのも競技的には望ましい要素)

『OSPORTS』は、
スポーツの競技形式として

競技の切り替り・終了(結果確定)の規定→時間・試技数
競技の優劣の判定→ジャッジによる採点の高さ

を用いていることから、
この時間・試技数・ジャッジの要件に関しては明確性が最も求められる要件となります。
(「一定のルールに則って技術の優劣を競う活動」において技術の優劣を可視化するのがルール・競技形式であるため)

その点において、今回のルール設定にはそれぞれにスポーツ競技のルールとしての改善点が発生しています。

・各お題は5〜8分
→競技の切り替りが時間と試技数制限で定義されているので、時間は明確化・固定化する必要がある
・各ブロック4〜5問出題
→競技の切り替りが試技数に左右されるものでもあるので、出題数は明確化・固定化する必要がある(時間が明確化・固定化され、出題の切り替りの要件がそちらにおいて明確であれば数が確定している必要はなくなる)
・くじ引きで選ばれた3名が袖で審査
→全ての試技の点数が明示された上で比較される必要がある
(また、本来ジャッジ・判定は明示された人物が点数を明示し正当性を明らかにする必要があるが、演技審判に関してはフィギュアスケートなどでの採点不正問題などにより、匿名かつ、最高評価及び最低評価を与えた演技審判の評価が除外されるなどの取扱に改められている現状にある)

関連して、
以下、今回大会の結果・内容を踏まえての考察です。

制限時間・出題数について、Aブロックを例に記録をとると、
結果的には4問の出題で、
制限時間に関しては(出題から終了のサイレンまで)
1問目:10分55秒
2問目:9分21秒
3問目:10分16秒
4問目:7分27秒
となり、1問目・2問目・3問目は上の制限時間を越えているものとなっています。
(ルールの定義に則したものは4問目のみ)

Bブロックに関しては、
ブロックにおいて3問の出題で終了し、出題数がルール要件に不足しており、
制限時間に関しては、
1問目:8分05秒
2問目:7分36秒
3問目:6分06秒
となり、1問目がルール上の制限時間を越えているものとなっています。

決勝では、
4問の出題で、
制限時間は、
1問目:6分24秒
2問目:6分36秒
3問目:8分49秒
4問目:9分14秒
と、3問目・4問目がルール上の制限時間を越えているものとなっています。

また、ジャッジの点数について、いずれのブロックも回答ごとの公開・非公開がまちまちであり(公開時も全て口頭)、会場下手にてその時点での1〜3位の回答が示されるのみであったため、試技の点数と優劣の順序が正当な形で開示されていない状況となっていました。
(配信での確認でも問題毎の最終結果の確認が難しいケースあり)

※参考
Aブロックでは、
全回答 58回答に対し得点開示があったのは20回答
Bブロックでは、
全回答 33回答に対し得点開示があったのは10回答
決勝では、
全回答 45回答に対し得点開示があったのは4回答


以上を踏まえ、
ここからはスポーツ(競技)的見地から、今回大会の結果・状況を踏まえたルール修正に対する考察です。

・制限時間・試技数の明確化

今回大会において1回の回答に対する所要時間が平均約40.5秒となりました。
(Aブロック 1回答平均40.3秒
 Bブロック 1回答平均39.6秒
 決勝 1回答平均41.4秒)
こちらの平均値により、一問に対して制限時間が5〜8分となると、7~12回答が目安の回数となるため、8名での予選ブロックにおいては回答できない人が出る可能性も出てくる状況、かつ、最大試技数の3回を満たす可能性は少ないと考えられます。

以上の実績を踏まえ、
判定待ち・順位入れ替えの待ち時間を極力減らす必要があると考えます。

そちらにより、1回答の平均所要時間を30秒程度まで抑え、制限時間8分でも理論上約16回答(8人で戦う予選ブロックであれば一人2回答)が可能であるようにすることができれば、競技上の試技数の公正性がある程度確保できるものとなります。
(早押しなどの導入を行わず、挙手による自己申告の試技となると回答順・回答回数の差が進行担当者の采配によってしまう部分が重くなるため、競技的観点から言えば試技(回答)の数を極力公平にすることが望ましい)
(また早押しでの回答権争奪は「もっとも大喜利が面白い者を決める」というような競技としての本質・コンセプトを逸脱しているものであるため、競技としては行わないことが望ましいものと考えられる)

このような競技短縮の実施を前提として、

「制限時間・出題数」
・8分×4問制
ルール定義上の必要性における明確化
基本的に制限時間を厳守
(順位変動待ちの廃止→ 試技・採点は時間内に行われるものとして、順位付けは競技の範囲内に行われなくともよい。競技の外で可視化することで実質の競技時間(アクチュアルタイム)を担保する)
(8分を越えた時点で回答をしている場合の猶予などアディショナルタイムの検討)

「各お題についての回答数制限」
・一問につき最大3回答、もしくは予選ブロックは2回答、決勝は3回答
(※予選ブロックでは全員にほぼ均等に試技の機会を与えるべきであるという視点からの2回答制限の検討)

以上のようなルール定義の検討が提案されます。

また、採点に関しては、採点競技の現状として技術の向上により肉眼での判断が難しくなってきていたり(ビデオ判定や採点システム開発)、不公正な採点・採点不正があったことによる採点方法の改革や採点基準の明確・細分化が行われる現状にあります。
いずれも、採点の正当性を担保するためのものでありますが、「もっとも大喜利が面白い者を決めるスポーツの祭典」である『OSPORTS』において、「面白い」の基準を一般化・明文化することは難しく、その場において「面白い」という評価の正当性の形成は、現行の他の採点スポーツ競技のような一つ一つの動きに対して採点基準を設けてその基準に沿っているか・満たしているかを複数人の目により判断するというものより、現状においてはより多くの他の出場者たちの同意というもので評価を一致させ正当性を強化していくことの方が相応しいものであると想定します。

以上の状況を考慮し、
採点・審査に関しては、
「審査員はもう片方のブロックから、くじ引きで選ばれた3名が袖で審査」
というものから、
更なる正当性を担保すべく、
現行のジャッジの人数3人を増員し、かつ最高点と最低点をカットした合計点にて判定
というものを提案します。
こちらにより最低限の匿名性と公正性の担保を両立できるものなのではないと考えます。


以上はあくまでスポーツ的・競技的見地からの考察となります。
あくまでそのような見地からになりますので、回答や結果などには触れておりません。
言及しきれていない部分も多いですが、以上が考察の骨子の部分です。

競技的な部分を考慮せずとも、ハイレベルでとにかく面白いイベントとなっています。
競技外の部分で、解説者の存在もとても頼もしく、大会・回答への理解度・テンションを上げていく上で不可欠となっていました。
回答を拾って突っ込んでさらに面白くするツッコミ型解説・大喜利的見地からの解説の2名の人選のバランスも抜群で、そちらも今後が楽しみになる一端でした。

とにかくまずは一人でも多くの方に配信を見ていただき、次回大会につなげていただくことを望んでやみません。


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