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Insta LiveをPCから配信する方法とこれからのDJ配信コンテンツに向けて

前回、配信ノウハウ記事を半ば殴り書きのように投稿したわけですが、意外に反響が多く、とりわけ身近なDJのご友人各位、ミュージシャンやタレントさんなんかもチェックしてくれていて、個別に相談に乗ったりなどしておりました。

そろそろ配信ブームも、1ヶ月後にはひと段落来そうな気配なので、表題のネタを中心に、寄り道駄文も添えていこうと思います。見出しから興味のある話題つまみ食いしてくださいませ。

なぜ配信するのか?

4月頭に、皆一様に配信配信と息巻いていたので、一旦落ち着いて、技術的リソースもコストかかるし、無観客であっても制作スタッフだけで3密になるし、お客さんに提供するコンテンツは配信である必要はあるのか?、考えて欲しいとFacebook内で書いたことあって。エンタメが止まったのは2月末のPerfumeドーム公演の中止かと思います。以降3月上旬あたりのその他ライブ公演あたりは、無観客配信に迅速に対応されていました。そこは元々TV放映用や盤制作用にカメラクルーが帯同込みの現場で、完全にバラすより、配信に回してしまった方が損がないってことだと思います。

配信ブームは、2009年-2013年くらいがピーク(僕ががっつり配信仕事していた主観的主張)で、現在は廃れているというよりかは、細分化の限りを尽くして、最適化の末、活かされるコンテンツジャンルは狭義的なレンジに落ち着きました(ざっくりの解説ですが)

コロナ禍による配信ブームの背景は、ご存知の通りオフライン(現実世界)におけるサードプレイスの消失ですね。ライブハウス、クラブ箱、ミュージックバー、バー、飲食店。サードプレイスというやや広義に捉えていくと、あの店に行けば誰かいる、学校の教室みたいな、友達じゃないけどクラスメイト、普段つるんでないけど、同じ時間は共有していて、なんとなくな絆がある。薄いのか濃いのかわからないんですけど、人口過密な東京では、それくらいの距離を心地よく思ったり。ときには、見ず知らずなお客さんと意気投合して一晩飲み明かしたり。そういう場所がなくなっちゃったんですよね。

そこを穴埋めするために、配信コンテンツが必要なんですね。馴染みのDJの音を聴きながら、チャット欄で挨拶を交わす。ZOOMをやる距離ではないけど、チャットルームで生存確認するくらいの場所。そういうゆるやかなつながりを見出してあげるのが、店舗さんやイベントチームなどが提供しなければいけないこと。インターネットも器用にやりくりできてる人ってあまりいないんですよね。僕だってオフラインでつながれてるDJやお客さんと無闇にネットでつるみたいと思いませんし。インターネットに不慣れな人たちが一生懸命配信をやったり、配信を観たり、本当に今までインターネットにアクティビティをたくさん吐かなかった人たちが、うろうろと行き場を探している感じなんです。

なぜInstagram LIVEなのかと?

僕らコンテンツ発信者目線でいうと、高クオリティなソースを送出できるライヴストリーミングサービスを選択したいし、そういったプラットフォームでフォロワーを獲得したいと考えるのですが、今回のコロナ禍の状況では、勝手が違うことがわかりました。とくにInstagramでのライブ配信が個人的な定点観測としては多くて。要はソーシャルグラフを伸ばす中で、単純にInstagramでのフォロワー獲得が、どんなジャンルのアカウントを見ても強いですね。閲覧側としても、そこで張り付いてコンテンツ体験するのしんどいですけどね普通は。いやまあ、広瀬すずや宇多田ヒカルの配信だったらiPhone端末からの配信でもなんでもいいんですけどね、それだけで価値がありまくりなので。ただ配信コンテンツが、DJ配信だったりすると、音はライン入力したいし、演出を考えればVJを足したりなどしたいですしね。高品質なマイクで歌唱したいとか。公式としてはInstagramアプリから配信してください、しかなんですよね。

ストリーミングVJ屋さん目線で言いますと、クライアントが持っているソーシャルグラフを分析して、どのSNSにフォロワーが多いのか、どこがコンテンツを活かしやすいのか、コロナ禍配信ブームに合わせて精査してあげた方がいいです。すごく特異な状況がおきています。

Insta LiveをPCから配信する方法

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Yellowduck

はい、Yellowduckを導入しましょう。これでおしまい。InstaLiveのRTMPとStreamKeyを吐いてくれるツールです。これで、OBSなどの配信ソフトに食わしてあげればPCで配信できます。キャンバスは1080 x 1920で大丈夫ですが、実際の配信画面だと表示領域が小さく表示されるので、レイアウト調整してください。非公式ツールなので、あまり堂々と紹介できる代物でもないですけども。映像は2Mbps送っても綺麗に流れますけども、最近はインスタ側の問題なのか、途中で配信落ちたりもありますので、あまり負荷をかけないように心がけましょう。

Insta LIve PC配信 実例紹介

現在、2020年5月いっぱい実施している青山ZEROさんでの無観客DJ配信を担当しております。上記の動画は、それのダイジェストビデオです。配信出力は映像600kbps、音質は160kbps。これは会場の回線の具合を見て設定したものです。そこからアーカイブ配信をiPhoneの画面キャプチャ機能を使い収録して、Premireでエディットしているので、エンコード数回かかっているので、画質はご了承ください。

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機材セットアップの紹介です。

ビデオカメラ GH5s(f1.7/15mm/ISO800) HDMI出力

ビデオ+オーディオキャプチャ BM Web Presenter *PCとの結線はAudioQuest Diamond 72V DBS + AudioQuest Bugjitter

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配信PC  Mac pro(2013Lat,6core,メモリ32GB)
VJ ソフト Resolume6 arena *ビデオカメラのソースをResolumeに取り込み、VJ映像はここで固めて、OBSに送出。

Resolumeの映像をOBSに送るチュートリアルはこちらの公式解説をどうぞ。

複数プラットフォームに配信する方法

今回の青山ZEROさんでの配信は、Instagramでのフォロワーが一番多いので、Insta配信とTwitchアカウント新規で作成して、Instagram,Twitchの2つのライブストリーミングサービスに送出しています。16:9と、9:16、キャンバスサイズがそれぞれ違うので、OBSとStreamLabsOBSを立ち上げてそれぞれレイアウト変えて配信しています。

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*Twitch上ではResolumeからの送りのみで、OBS上で右上のロゴだけ配置。

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Restream.io

例えば、FacebookLive、Periscope、YoutubeLiveなど複数のプラットフォームに同時配信したいときはRestreamが便利なので試してみてください。回線も食いません。3プラットフォームまでは無料アカウントでマルチ出力できます。有料プランを利用すればカスタムRTMPも利用できたりして、便利です。

VJ演出について

いろいろな配信において、様々な演出の工夫がなされていて、日々勉強させてもらっています。今こうして、案件になるからこそ、僕らVJも楽しくリソースをさけるわけで、とても貴重な機会をいただけると思っています。

クラブVJと配信におけるVJの違いでいえば、知覚的であるのと、視覚的な違いがあります。クラブVJでは、よりリニアな音との同期感を求めるアプローチをしたり、ビジュアルというよりかはライティングの一部として、一体感を伴うことで、VJの役割を果たす場合が多いかと思います。配信ですと、視聴者は、映像そのものを視聴することになるので、勝手が違ってきます。このままクラブVJらしい表現をしてしまうのもおもしろいですし、カメラワークのスイッチングに凝るのもいいですし、VJがどういう役割を果たすのかそれぞれ正しいと思います。

僕の場合は、

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Insta Liveだと、画面下部にチャットがスクロールしてきて、ここでお客さんがチャットで挨拶し合うことのほうが大事なので、VJ映像とかぶらないように配置したり、VJのアプローチもストロボや早いカットアウトなどを行うと、お目が辛いので、アンビエンスな佇まいで、DJの音楽の雰囲気にゆったり寄り添うようなコンセプトで演出しています。手持ちの機材で配信とVJを両立させることと、3密を防ぐために僕1人でオペレーションする必要もあったので、カメラ複数台で、カメラワークに凝るという選択肢は捨てて、シンプルに1画面、そこに音のイメージを映像で知覚変換して、DJにまとわりつかすような演出にしてみました。イベントタイトルがKeep on Music Journeyなので、"旅"をイメージした素材を中心に紡いでます。(現時点では、あと2回あるのでまだまだ模索中)。青山LOOPから、この箱のアイデンティティには触れていると思っているので、僕も長らくプレイをしているし、青山ZEROとして、どんなイメージが適切だろうと、一番そこを大事に考えています。

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素敵だったDJ配信事例

Dixon | Boiler Room: Streaming From Isolation | #9
https://youtu.be/zMG7K5_Jv2M

Dixonが映像の中に取り込まれていくような演出が、とても素敵

Einmusik b2b Jonas Saalbach live @ Preikestolen in Norway for Cercle
https://youtu.be/cVFzblT5VPE

Cercleという、すごい絶景の中でDJをやっちゃうシリーズ。ここ数年流行っているDJ動画ジャンルだったりもします。

FAT GIRL SLIM - World premiere DJ set by Nelly Cook (with a little help from dad Fatboy Slim.....)
https://youtu.be/h5kFZ2UZ4uI

ノーマンクックの娘さんによるSTAY HOMEなDJミックスショー、家族愛が溢れてて、どんなクールな演出もこれには勝てない。お父さんがDJ手伝ってるのがツボ。

Mixed Style DÉ DÉ MOUSE live set on Music Unity 2020 represented by clubasia(Nulife Groove special)
https://youtu.be/hPA2es2JtGA

DEDEmau5さんは、コロナ以前もYoutubeLiveで、ちょっと変わったロケーションからお送りするライブ配信を試みていて、シチュエーションの妙とVJ的なカットアウトのグルーヴでカメラワークに個性が出ていて、バンドライブ系のスイッチングとも違う、こちらのチームの演出の明快さが、素敵です。

Porter Robinson - Secret Sky Set (2020)
https://youtu.be/4KGsgpFiswQ

やっぱりただのヲタクじゃないか、って感じですが、DJとしてのストーリーテリングとそこに追従するVJのイメージが高次元で、単純にオーディオビジュアルの視聴体験として、作家性があって、素敵すぎます。いいチームだなと思います。

これからのDJ配信コンテンツについて

2020年5月半ば現在、これから世の中がどうなるかわかりませんが、ここ日本においては、コロナの封じ込めが効果を出し、学校が再開すれば世の中は通常営業に戻るかと思いますので、この配信ブーム的なものは一旦の落ち着きを見せるでしょう。コロナだったからこそ、エンタメ業界に関わるスタッフが配信上でお祭り騒ぎできたわけです。箱が復活すれば、やはりそこにお客さんが集まって、お酒を飲んで、っていうのがお金がちゃんと落ちるんですよね。ある程度元の世界に戻ったところで、ピーキーな配信案件を続けるには、結構バジェットが必要です。

オフラインのDJとオンラインのDJと、人

配信活動については、2008年からやってきていますけど、僕の経験則でいえば、オフラインとオンラインは別物です。オンライン上だと、全てのコンテンツやジャンル、文脈が、同じフィールドにポーンっと投げ出されるような感覚になるのはわかります。そこで数字で比較されちゃって、なんだかなぁ、って思ったりとか。身体性を離れて、オンラインに親和性のある文脈はあるでしょうが、気にしてはいけません。僕らには戻るべきオフライン、コミュニティやお客さん、東京の夜を彩る使命があるのですから、あまり自分で評価を決めつけるのはやめましょう。オンラインでDJやる自由、やらない自由あるんですが、もし何かに躊躇して、やりたくても気が引ける方がいるなら気にしないで、トライしたほうがいいです。オフラインで育むソーシャルグラフとオンラインで育むソーシャルグラフは別軸くらいに考えてみてください。オンラインで何もしていなければ、何もないんですよ基本的に。そして、現場でDJしているなら、そこのソーシャルが大事なんです。

グラデーションを持ってアクティビティをハンドリングしよう

オンラインとオフラインを二項対立にしたいわけではありません。もし、せっかくコロナのタイミングで配信DJのスキルや、機材なんかも揃えたのなら、元の世界に戻っても、イベントのプロモーション等で、配信DJを続けてもらえたらと思います。一昔前は、紙のマンスリーフライヤーや、イベントフライヤー、クラブ雑誌に出稿、フリーペーパーに出稿など、不特定多数のタッチポイントに訴求するシチュエーションが多かったと思いますが、今はSNSでなんとなく、つながっている身内に告知してー、ぐらいのノリが多いと思います。Soundcloud,Mixcloud,Podcast,Livestreaming、音声コンテンツでも映像コンテンツでも、配信コンテンツでも、なんでもできるようになったじゃないですか、今回を機に、オンラインのアクティビティをもうちょっと頑張ってみる、いかがでしょうか?。若い子とかのDJ、視聴人数2人とかでも、めっちゃ見てますよ関係者。あー、頑張ってるなーって。

また、サードプレイスが失われたときに

コロナの第二波がきて、なかなか元に戻らないかもしれません。そんなときに、さっとテレワークに切り替えれるじゃないですけど、箱のSNSフォロワーが潤沢であれば、そこでまた繋がりをつなぎ止めることが可能です。何かしらメッセージは届けられます。だからこそ、常日頃SNSアクティビティを頻繁に動かしてみてはいかがでしょうか?。店休業になっちゃったけど、店のアカウントですぐDJ配信しても合流できる絵面になってたら安心ですよね。例えばMograさんなんかは、Ustream時代から、ずっと配信は回していることが多かったからこその蓄積というか資産があっての、試みが跳ねてるわけで。

私信

世に言うミュージシャンやアーティストと違ってDJは、DJなんですよねー。クラブとかミュージックバーとかで、週末DJして、そういう場所に生かされてるというか機能している存在で、音楽がこう、っていうだけじゃないんですよね。そしてごくわずかな、自分が住んでいる街で起きている出来事であって、手を広げて掴めるものは、そんなに多くない。そういう意味では、自分がどこに目を向けるか答えはシンプルだったりするんですが、もうちょこっと多用的に視野を広げ直す。コロナ禍で問い直すいい機会になったと思います。

DJ Y-park a.k.a. VJ URBAN SOUL RELAX

Keep on Music Journey at 青山ZERO | Archive​

*1280 x 720 video700kbps Audio224kbps

2020/05/23sat  DJ 青野賢一 VJ URBAN SOUL RELAX

2020/05/30sat DJ Junya Shimizu   VJ URBAN SOUL RELAX


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