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愛は恋ではない

(前書きは後書きではない)
この文章は2016年の頭から夏にかけて、音楽誌「マーキー」にて連載されました。小説、という呼び名は適切ではないのかもしれない。愛と恋という名の二人のJKが、手を変え品を変え、ダイアローグを続けるだけの物語です。「マーキー」誌ではこれを書く前に「天馬人語」という、音楽誌らしからぬ時事コラムを六年近く連載していて、そちらは編集諸氏にも気に入って頂けていたのですが、こちらはたった四回でまさかの打ち切りという憂き目に遭ってしまいました。理由としてはやはり難解とのことでしたが……時事コラム連載当初はインディーロック誌だったマーキーも数年ですっかりアイドル誌に様変わりし、きらびやかな誌面の隅っこで澱んだものをまき散らし続ける連載は、やはり相応しくなかったのでしょう。
いま読むと十年代半ば頃の、アイドルやSNSに対する僕の歪んだ心情が大きく反映されたものとなっています。後の「松永天馬殺人事件」や、同時期に連載していた「少女か小説か」同様、言葉で駆動していくようなストーリー展開も人を選ぶでしょうが、僕は好きです。いつか演劇化、もしくは映像化しましょう。そのときふたりのJKを演じるのは、きっとあなたたちの誰かです。

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