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2020年10月30日の日記

カレーが食べたくなったので目当てのお店に行ったところ、品切れだった。適当に歩いてるうちに、何回も通ったことがあるけれど一度も入ったことのない喫茶店が目に入った。看板はかなりさびれていて、しかも地下にあるので入りづらいし、やってるのかどうかも判別がつかない。表にサインがあったので、意を決して入ってみることに。

階段を一段一段降りていくうちにむっとした濃いにおいが強くなる。おばあちゃん家のにおいを数倍濃くしたような、古い家特有のにおい。でもここで引き返したら2度とこのお店に入らない気がしたので、そのまま進む。

店内はやや薄暗く、そして驚くほど広い……というかめちゃくちゃ広い。学校の教室が1.5個強入るぐらいというか、理科室や多目的教室ぐらいの広さがあった。床はカーペットが敷いてあって、大理石のテーブルに茶色いソファ、ソファの上にはごわごした茶色い毛のクッションが敷いてあった。インベーダーゲームか何かのテーブル筐体が片隅に放置されていた。客はひとりもいなくて、おばちゃん店員に案内された席に座った。サービスランチのハンバーグカレーを注文。店内BGMは古今東西の名曲をギターとピアノでいい感じにカバーしたようなやつだった。

「レトロ」と「昭和」と「さびれた」が高濃度で融合してる空間だなと思った。おばあちゃん家のにおい感としか形容できない感じ(線香系のにおいではないやつ)はめちゃくちゃ強い。具体的にどういう感じと表現したらいいのかわからないけれど、カーペットとソファに敷かれたクッションに由来するものな気がする。

少し待っていたらサラダが出てきた。

サラダはまさかのオレンジ付き。この感じもレトロな感じがする。オレンジを食後に残しておくか迷ったけれど、そのまま食べた。

カレーハンバーグはきょうびあまり見ないような四角い器に入っていた。楕円形の銀の器でも深めのシチュー皿のようなものでもなくこれで、テンションがブチあがる。ハンバーグもカレーも、食べたところ業務用という感じだけれど、一周まわってその業務用な感じがなんだか嬉しかった。

食後に出てきたホットコーヒーを飲みつつ本を読んで、店をあとにした。

この喫茶店の周辺にも駅の周りにもチェーン系の喫茶店も飲食店も多数ある。そんななか、ひっそりと生き延びられているのは凄いことだと思った(もしかしたら主な収入源は別にあるのかもしれないけど、それはともかく)。自分はこの町のことを何もわかってないんだなとも、また改めて思った。

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