なにかが変わる弟子屈暮らしvol.28
忘年会後の走り書き編
はぁ。凍れる。
さっきまで温かい店に居たはずなのに、肺に入った空気が身体を芯から冷やして凍らせてしまいそうだった。
今日はお世話になっているお花屋さんがご挨拶に来てくださって帰りにしめ飾りをくれた。
それで初めて「あ、年末なんだ」と実感する。
年々、一年の体感が短くなってきて常に師走状態みたいだった。
どれかひとつが狂えば、ひとたびバランスを崩してしまいそうな中で、毎日の丁寧な食事と温かい会話が生活の土台を作っていた。
去年では考えられなかったことだった。
外出することが少なくなり、家で過ごす時間が好きになった。外交的ではなくなったが創作意欲がわいた。これでいい気がする。
やるべき事、やりたい事がはっきりしてきて、幸いまた応援してくれる周囲の環境があった。
随分と抽象的な話だが、自分では視力が良くなったみたいにはっきり輪郭を捉えられるようになってきている。手応えがあった一年だった。
忘年会で、若き同僚は悔しがっていた。
私は何が悔しいのか分からなくて、話を聞いている途中で笑いが止まらなくなった。
好きなことを続けるってどういうことだろうと思いながら、勝手に壁打ちをする。同僚はそんな話はしていない。途中から人と喋っているようであの頃の自分と話していた。
その日の夜、うなされて目が覚めた。
悔しい、なんて思ったこともない。
そのはずだったけど、思うところはあるらしい。
いろいろと思い返してみたけれど、今更「可哀想ですね」と感傷に浸るのも白けてくる。
忘れる会なのに変な事を思い出してしまった。
翌朝、気温は−18.7℃まで下がった。
なんだか寒くなればなるほど力が湧いてくる気がする。
私は北海道に来てやっぱり大正解。
後ろなんか振り返らないぞ。
本年は大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いします…!
皆さま、よいお年をお迎えください。
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