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【9】諸刃の刃をサイドに携えるアルヒラル。対する浦和に勝算は?

アル・ヒラルリヤドを率いるのは、ルーマニアの名将ミルチェア・ルチェスクの息子であるラズヴァン・ルチェスク。ギリシャのPAOKをギリシャ王者に導いた彼は2019年7月に途中就任としてリヤドにやってきた。
ACLの時間軸で考えると、ラウンド16からの指揮となる。

2年前のACL決勝を同カードで対戦した浦和にとっては勝手知ったる相手。ただ、メンバーはかなり変化しているとも変化していないとも言える。

2年前との違い

変わっている部分は特に前線だ。前回対戦で退場した選手として浦和サポーターも覚えているだろうサレム・アル=ドサリ以外のスタメンは新しい面々になっている。元フランス代表のゴミス、元イタリア代表のジョビンコ、ロシアW杯戦士のペルー代表のカリージョを揃えたアタッカー陣は、アジアNo.1の陣容と言って差し支えないだろう。

彼らでACL外国人枠の3は埋まる。残りのアジア枠の1に入るのが、最後尾のこちらもロシアW杯戦士で元韓国代表のチャンヒョンスだ。17年、18年にFC東京に所属していた彼は日本人には馴染みの選手である。

前回対戦時にスタメンに名を重ねていた2017AFC player of the yearのシリア代表フリビンやブラジル人エドゥアルドは所属しているが、リーグ戦要員となっている。今季途中、コロンビア代表クエジャールを獲得したが、ACL登録期限の関係から彼もリーグ戦要員だ。
クエジャールは現在リベルタドーレス杯ファイナリストとなっているフラメンゴのスタメンであった選手で、現陣容の移籍金ではカリージョの9.5M€に次ぐ7.4M€を要している。参考程度に浦和に照らし合わせてみると、ラファエル・シルヴァの武漢への移籍金が5M€、マルティノスの横浜FMから浦和への移籍金が2.5M€(予想値)となっているが、そんなところからもアルヒラルの台所事情の豊かさは垣間見れるのではないだろうか。

2年前と変わらない点

変わっていない部分は、彼ら外国人の脇を埋めるのはサウジアラビア代表の選手たちだということ。ロシアW杯が終了後、2019年に入ってから未召集となっているカンノ以外は、サレム・アル=ドサリ、アル=ファラジ、オタイフ、アル=シャハラニ、アル=ブレイク、アル=ブライヒ、アル=マユフ、交代の切り札バハビルの総勢8人が現体制のサウジアラビア代表に招集経験がある。

ただ、サッカーは選手の経歴で戦うものではないことは、北京国安や広州恒大を撃破してきたACLでの浦和の戦歴が示してきたこと。勝算はどこかにあるはずだ。

ヒラルがルチェスク体制になってからのACL6試合で、キープレーと考えたシーンを守備の局面と攻撃の局面に分けてピックアップしてみた。

守備の局面

①アルアハリ1stleg ゴール ロングボール→RB裏突破


②アルアハリ1stlegノーゴール LB裏突破


③アルアハリ2ndlegゴール LB前アーリークロス


④アルアハリ2ndlegノーゴール LB前クロス


⑤アルサッド1stlegノーゴール RB裏

⑥アルサッド2ndlegゴール LB裏→PK


⑦アルサッド2ndlegゴール LB前クロス


⑧アルサッド2ndlegゴール RB裏ロングボール


⑨アルサッド2ndlegノーゴール RB前クロス

9つのピンチを見てみると、両サイドバックの守備にかなり難があることが分かるだろう。浦和の両ウイングバックが関根、橋岡という攻撃に特徴があるスタートであることを想像すると、サイドの主導権を取ることができればかなりのチャンスが作り出せるのではないだろうかと見ている。

攻撃の局面











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先程の守備の難とは表裏一体で、ヒラルのサイドアタックはかなり強力だ。サイドハーフとサイドバック、時にはトップ下とのコンビネーションから前線に点で合わせる形はかなり再現性があり、浦和の自陣のハーフスペースやその外郭を開けてしまうとサイドハーフ又はサイドバックから必ずと言っていいほどピンポイントのクロスが飛んでくると考えていい。これに対処するには浦和のウイングバックだけでなく、ボランチやセンターバックとの連携で対応しなければならないだろう。

まとめ

この決勝の勝負所は明らかに攻守共にサイドの局面で間違いない。1stlegでの状況次第では守備に特徴のある宇賀神を投入ということも効果的になってくるかもしれない。2試合通じて、サイドの主導権がどちらに傾くかで試合の展開は大きく変わると予想している。アジア最強レベルのサイドの激しい主導権争いが決勝で観れることを期待したい。



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