MS-08TX/N イフリート・ナハト
イフリートはMS-07 グフとMS-09 ドムの中間的な位置付けで現地開発された機体で、コスト面での要求を満たすことが出来ず、少数が生産されるに留まったが、機体自体の優秀さからさまざまな実験機やカスタム機の素体となった。本機もそのうちの1機で、マ・クベ大佐の肝煎りでオデッサで開発されたらしい。
ナハト(nacht)はドイツ語で夜、本機の特徴はそのステルス性にあり、電波探査を無効化する強力なジャミング機能を備えている。そもそもミノフスキー粒子の影響下で電子戦が無効化されるようになったにも関わらず、なぜジャミングが必要になのかという気もするが、正確な位置が特定できなくても自然界に存在しないミノフスキー粒子自体が警戒の対象になる場合もあり、高い隠密性を必要とする潜入ミッションなどではミノフスキー粒子に依存しないステルス性が求められたのではないかなと。
また真空の宇宙空間と違い、大気のある地上では音紋探査やサーモグラフィーのような技術も有効であり、本機では電子戦以外にも静音性や遮熱性などに配慮が為されている。
塗装は夜間の活動を想定した紫系を採用し、胸部・バックパックの排熱口、股間部のスラスターが廃止され、バックパックのスラスターに可動蓋が設けられている。
音や光を発する火器は左腕部の3連装ガトリング・ガンのみと最小限に抑えられ、これは恐らくMS-07B3 グフ・カスタムの装備を流用したものだが、普段はカバーの下に内蔵されている。
主兵装は本機の最大の特徴でもあるコールド・ブレード。ジオン系の標準的な格闘兵装であるヒート・ホークなどは刀身を赤熱化することで敵装甲を溶断するものだが、コールド・ブレードは熱探知を避けるために特殊なコーティングを施すことで排熱を最小化している。
腰部と脚部にマウントされているヒート・クナイも排熱を抑える特殊コーティングが為されているが、投擲兵装としても利用でき、こちらは命中時に高電圧を発して敵の電気系統やパイロットにダメージを与える仕様になっているらしい。
本機のようなステルス仕様機では他にMSM-4 アッガイがあるが、こちらは水陸両用機という特性も含めて主に諜報任務を想定していたと考えられる。対して、極めて高い戦闘力を有するイフリートにステルス機能を持たせた意図には、例えば本隊に先行して単機で敵陣深くに浸透し、奇襲によって敵中枢や主力を撃滅する暗殺ミッションのような任務が想定される。発想的には、オデッサの戦いで試みられたレビル将軍の本営への直接核攻撃に通ずるものがあり、本機がマ・クベ大佐の発案だったというのも故のない話ではなさそうである。
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