MS-08TX/S イフリート・シュナイド
イフリートはオデッサで開発された、MS-07グフとMS-09ドムの中間に位置付けられる陸戦型MS。コンセプト的には白兵戦重視にみえるが、スラスターは大幅に強化されてグフの約150%を絞り叩き出しており、MS-18E ケンプファーのような一撃離脱を志向する強襲型MSの先駆と考えるべきかもしれない。
機体性能は良好だったがコスト面での要求を満たすことができず、少数が生産されたのみで量産化には至らなかった。生産された実機の多くはエースパイロットの専用機や新技術の実験機に回されており、現在確認されている機体のほとんどはカスタムメイドである。
本機は特別競合部隊マルコシアス隊の総隊長ダグ・シュナイド大尉の乗機。マルコシアス隊は出自等の理由でエースパイロットの練成過程から洩れたパイロットで編成された部隊で、特別編成大隊キマイラの予備軍とされた。
カラーリングはシュナイド大尉のパーソナルカラーに塗装され、左肩のショルダーアーマーには部隊章がみえる。兵装面でも標準的なイフリートにはみられないものが採用されていて、一際目立つのはジャイアント・ヒートホーク。“黒い三連星”のオルテガ中尉や宇宙攻撃軍司令ドズル・ザビ中将の専用機など、特に格闘戦を好むパイロットのカスタム機に支給されていたもの。
左前腕部にはMS-07B3 グフ・カスタムで採用されていた3連装ガトリング・ガンを装備しており、主にこれで牽制射撃を行いつつ推力を活かして接近し、ジャイアント・ヒートホークでの格闘戦に持ち込むという戦い方が想像される。腰部にはイフリートに標準的な専用ショットガンも携行している。
同機はシュナイド大尉戦死後に連邦軍の脱走兵フレッド・リーパー軍曹に受け継がれ、実に宇宙世紀0096年までジオン残党軍として活動している。
もとのパイロットであるダグ・シュナイド大尉の名をとってイフリート・シュナイドと称されたこの機体は、ヒート・ダートと呼ばれるクナイ状の投擲/格闘用兵装を14本装備しており、肩のスパイクが外されてそのマウントラッチに換装されている。
この間、幾たびも改修を重ねてジェネレーター出力は原機の2倍以上に引き上げられているが、終戦から17年近くを経ても現役として一線を張れているのは、イフリートの基礎設計の優秀さを示している。
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