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未練の話#5 未練をどうにかする

 「未練を消していく」と「諦めることに集中する」の、二つのどうにかするやり方がありまして、これをちょうど良い感じに混ぜることが望ましいと話をしましたが、ゴマの助はこの未練をどうにかできるのでしょうかねぇ。
 えぇ、まず、ゴマの助とチョン子の歳を五十歳と仮定してみましょう。五十だとしたら、チョン子にいくら会いたいと思ったとしてもですね、例えば探偵などを雇わない限り難しいと思われますね、いきなりゴマの助くらいの遠く離れた人が関わりを試みて(しかもきっかけが夢)会いに来るというのは、危ない人ですよ、罪の臭いがひどい。なので、何か運命的な、奇跡的な、珍事的なことが起こらない限りは、チョン子と面と向かうことは控えた方がいいように思いますねぇ。
 会えないので、どうすればいいかというと、未練を感じている「あの時の自分」に考えてもらい、そうかぁと分かってもらうしかないですなぁ。あの時の自分は、どれだけチョン子のことを思っていたのか、ゴマの助は自分であの時の自分に話をして分かってあげるしかないんですよねぇ。チョン子をどうにかするのではなく、「あの時の自分との話し合い」でなんとかするんですよ。二つ目のやり方ですな。
 今は結婚している(していないとしてもそれなりに生きている、今は苦しい生活をしている)など、まあ、ゴマの助の現在と青春時代と、それ以前と、色々と照らし合わせて考えて、「ゴマの助という人間について」あの時の自分と中年の今の自分がお互いに話し合いをするように、何かに書いたり、カウンセリングも良いし、誰かにこの話をするのは、だいぶ気持ちの強さがいると思うが、まあ、どういう風にするにせよ、自分との話し合いを試みるべきですな。チョン子の心や生き方は「ゴマの助の外にあるもので、何をどうしようと、どうにもできない」「ゴマの助にとってチョン子は関わりの薄い取るに足らない人、それはそれ」(もちろんチョン子にとってはかけがえのない人生である)ということを、分かるまで、考えをこらしてみるのがよいような気が致しますなぁ。
 もし、「未練を解消していく」ことをしたいのであれば、僅かながらでも自分が力を及ぼせるのが、部下ですな。彼に恋の相談を持ちかけた部下の女性。彼女に関しては、何かアドバイスをするなり、何か協力するなりできたら良いのかもしれないが、それも、ゴマの助にその能力があればの話であることには変わりないですがねぇ。
 また、このことに限らず、能力の高い人間なんて、そうそういないのだから、「未練を消していく」だけではなく「諦めることに集中する」スキルを磨いていくことがよいことな気が致しますよ。なぜならねぇ、やはり力のなさを嘆いて、仕事を辞めたり、心が闇に溺れてしまったり、そこまでいかなくても、悩みすぎたりねぇ。そんな人は多いでございましょう。世の中はねぇ、あたしも含めて馬鹿ばっかりなんですからね、良い子ぶってないで、「諦める力」をつけましょうよ、ね、あたしはいつもそうやって、自分に言い聞かせて生き残ることを考えていますよ。
 あたしの諦める力といったら、とんでもないですぞ。皆さんは、もし宝くじの大当たりのあたり券を破って捨てられますか? あたしはねぇ、当たりの番号を調べまして、そしてもう一度当たりくじを見て、番号を確かめてから、宝くじ売り場に行きまして、それで、店員さんに「これ見ててもらいたいのですが?」って言いますでしょ、それで「これ当たりじゃないですか!」って言われて、それで、ええ? でも別に当たりくじとかいらないんですがねぇ、「いやいや、もったいないですよ!」って、店員さんに言われまして、「そこまで言うならしょうがないなぁ」とねぇ、すぐ諦めて当たり券をお金に換えますよ。やはり、諦める力が大事ですなぁ。

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