マガジンのカバー画像

俳句

868
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

俳句 カレンダー

「年よれば 実用本位 カレンダー」

もう富士山や花・子犬の写真は要りません。

数字の大きな、書き込むスペースの有る

カレンダーが良いのです。

昔は味気ないと思っていましたが、今は

これで充分です。

俳句 歳晩風景

「熊手売る 若き男の 江戸言葉」

神社の参道、両側に露店が並んでいます。

半纏を着た若者の口から、威勢の良い

掛け声が聞こえます。

少々荒っぽい江戸弁、それさえも心地

良く聞こえました。

俳句 やけど

「湯たんぽで 火傷せし跡 消えぬまま」

小学校低学年の時、湯たんぽを入れた袋が

ハズレ左足に火傷を負いました。

「袋の口をきちんと締めなかった」祖母は

泣いて、私に謝りました。

今でも微かに残るその傷跡を見ると、祖母の

大きな愛を思い出します。

俳句 食卓

「湯豆腐の 土鍋の色の やさしさよ」

確か伊賀で焼かれた、土鍋と聞きました。

自然な優しい色が、目に馴染みます。

鍋を囲んで祖父母・父母・兄弟が揃った、

賑やかな食卓を思い浮かべています。

俳句 セーター

「通院用 母のセーター 明るめに」

母の通院日。お洒落な人ですから、車椅子

になっても着る物には・・・

今日は思い切って、明るい色にしました。

本人は大喜びで「お前、このセーターなら

スカーフはあっちね」催促されました。

俳句 寒さに

「セーターも 厚手うれしき この齢」

厚手のカウチンセーターを着ると、

一挙に暖かくなります。ざんぐり編まれて

いますが、中に空気を閉じ込めている?

胸の「鷲の文様」が、気に入っています。

俳句 郊外の風景

「冬ざれや 地下鉄延伸 駅の前」

ようやくこの路線も、地下鉄とつながりました。

しかし駅前は再開発中、工事のせいで埃っぽく

逆に荒れた感じでした。

さあどんな姿に出来上がるのでしょうか?

俳句 意外

俳句 意外

「近づけば 強き姿の 大白鳥」

白鳥の飛来地を、俳句仲間と訪ねました。

遠目には誠に優雅な姿ですが、近づいて

見ると意外な程力強い・逞しい感じです。

他の渡り鳥を威嚇する姿は、驚きでした。

俳句 父の面影

「皮手袋 大きな父の 形のまま」

洋服箪笥コートの下の方に、父の皮手袋が

一つ落ちていました。すっかり乾いて、父の

大きな手の形そのままでした。

自分の手を入れて見たら、涙が止まらなく

なりました。

俳句 稽古日

「足袋脱げば 稽古の疲れ どっと来る」

稽古が終わり道具をかたし、自室へ。

寝室のベットに腰掛け、旅を脱ぐと疲れが

押し寄せて来ます。

まず「稽古日記」を書いて、反省・指導に

ついて、記します。洋服に着替え、寝る準備です。

俳句 寒い夜

「霜夜には 星座動かぬ 気さえして」

深々と大地は冷えています。

もしかして星も凍って動かない、子供心に

そう思いました。

俳句 原罪

「人間の 罪隠さんと 冬の雲」

大きく重そうな灰色の雲に、空は

覆われています。人々の原罪を天から

隠すかのようでした。雲の上は晴れ

渡り、明るい世界の筈です。

俳句 深夜

「冬の月 古稀の我にも 希望有り」

ベランダに出て、冬の月光を浴びました。

体も心も中身がすっかり、入れ替わった

様に思いました。

未だすべき事・したい事が有ったと、

気付かされました。

俳句 寒さに

「冬めくと クローゼットを 開けて閉め」

急に寒くなったので、着る物の調整に

追われます。今日はジャンバー・翌日は

少し厚手のコート・などと忙しいのです。

天気予報を聞いて、クローゼットを開け閉め

して選びます。