マガジンのカバー画像

茶道具

258
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

あわてて

これ程急に涼しくなるとは、何処の誰が予想
していた事でしょうか?
拙宅では「立秋以降は秋」との、師の教えを守り
いくらか秋色を稽古場に出していましたが・・

しかしウッスラでも朝晩肌寒い程では、やれ菊・
紅葉・文様の道具を。中置用細い水指、風炉名残
の道具の数々まで~一挙に考え、出さねばなりません。
更にその先の「炉の準備」に迄、心は飛んでいます。

若い頃と違い無理がききません。それなので何でも

もっとみる
掛け軸

掛け軸

地方から来た方に、良く驚かれます!
床の掛物についてです。「大徳寺系統以外の
一行物を初めて見ました」

そうです。私は大徳寺以外の禅寺妙心寺・建仁寺・
東福寺始め諸寺院の老師方の、染筆を使う事度々。
何よりも言葉・語句・つまり「禅語」で、掛け軸を
選ぶからでしょう。

{大宗匠様も妙心寺の御老師に付き、学ばれましたよ。
利休居士以来の御縁で、大徳寺物が喜ばれますが}
叱られそうですが大徳寺派の地

もっとみる
大と内

大と内

小習事「長緒」を指導しました。
この茶入には「大海」と「内海」が有り、
大きい方は濁らずタイカイ・小さい方が濁る
ダイカイ・です。

時々「長緒」を茶入の名称と、誤解している人も!
仕覆の紐{緒}が、長い所からの名称です。

「内海は、な・い・か・い・じゃないんですか?」
{貴女出身は、中国四国地方なの?瀬戸内海を
思い浮かべたでしょう}すると彼女は、苦笑い・・・

{三月のお雛様は何という?そう

もっとみる

叱る・止める

若い頃から良く道具屋さんに、叱られ・止められ
ていました。「大川さん、それは〇流のお好みですよ」
手にした道具を、買おうとする時です。
こんな風に、何度ストップをかけられた事でしょう。

内心は{金を出すのは私なんだぜ、大きなお世話}と
毒づいていました。亀の甲よりで、年が行くと反論開始。
{いいの茶事茶会で使うんじゃないから・・稽古で使い
キチンと、これは〇流八代家元のお好み、と説明するから}

もっとみる
茶碗の銘

茶碗の銘

稽古に「長次郎写し・鉢開」を出しました。
それを濃茶に使った時の問答です。

「お茶碗のお作は」{弘入でございます}
「お書付はございますか」{淡々斎が}
「ご銘は」  ここでストップを掛けました。

大原則として長次郎やのんこうの写し物には、
銘がありません。お箱書きも{〇入作 長次郎
◇◇写し}となります}
{もう一つ、楽家では長次郎などを写す時、
自身の窯印を入れない事も…お先祖への敬意の

もっとみる
薄茶器

薄茶器

今週の稽古、主の薄茶器は円能斎好み「日の丸」
でした。替えの茶器として「蜻蛉蒔絵中棗」を
出しました。

一番に来た人が「先生、実質日本は負けて戦争が
終わりましたよね。終戦じゃなく敗戦記念日では?
勝虫では似合わないのでは?」とんぼの別名を踏まえた
意見です。

{おみゃーさん、トンボの大切なもう一つの別名を
わすれているがや!秋津をねっ}そうです、日本は
秋津島と呼ばれて来ました。これは古事記

もっとみる
稽古の茶道具 終戦

稽古の茶道具 終戦

久し振りに、終戦記念日を取り合わせます。

寄付   靖国神社宮司筆 扇
床    無一物中無尽蔵
花    白槿・雁皮  花入 沖縄 抱瓶
香合   木彫 大兜
水指   ハワイ 貝文
薄茶器  円能斎好 日の丸
茶碗   京焼 掛け分け
 替   広島 厳島焼
 蓋置  長崎 三彩
菓子器  アメリカ 葉形

寄付は旧宮家出身「筑波藤麿」氏の筆。
社紋の桜と菊が印象的です。
軸 何もかも亡くし

もっとみる
この字は?

この字は?

例年旧盆中にやって来る又従姉妹。
表向きは「大叔父・叔父様へお参り」とは
言いますが・・・

お茶を学び自称「焼物好き」なので、彼女に
出す茶碗には気を使います。
覚えを見ると昨年は黒楽掛け分けの「馬盥」
でした。

今年はこの大の字が入った、茶碗を選びました。
「まあ~お兄さん、これは送り火の大文字ですか?」
嬉しそうに言います。

{まあそう言えばねー。高台の窯印見てごらん、何と
書いてある?

もっとみる
三島

三島

刷毛目茶碗に次いで好きなのは、三島です。
これにも色々な種類が有り、印花・色目・など
大いに楽しめます。

形の深い・浅いはもとより、色もおおよそ灰色
系統ですが珍品も・・・画像の茶系は、今高麗
{現在の韓国製}です。

三島茶碗なら柄は有っても、濃茶にも使えます。
おおむね高麗系の茶碗は、何でも好きです。
数えてみると、一番刷毛目・二番三島・三番御本・
の順に、蔵しています。

三島はその色目か

もっとみる
茶道具百話  貝香合

茶道具百話  貝香合

遊びに来た茶友が、床の間を見ています。
「ねえ~この貝の香合、向きが逆じゃない?
確かウチの流儀では、高い方が手前よね」
流石大ベテラン、細かい所を見逃しません。

{まあよく気付かはって}お馴染み嫌味を言う
時の、怪しい関西弁出た!
{実はコレ表流9代了々斎の、お好みなんです。
ですからあちら風に、飾りました・・}

{ついでに聞くけれど、何故私が表流の香合を買ったと
思わはる?}逆に質問を投げ

もっとみる
茶道具百話 椰子の実

茶道具百話 椰子の実

京都・北野・天神市で。30年以上前に見つけた
菓子器です。椰子の実を実に上手く、加工しています。
主菓子だと二個ぐらいしか入りませんが、干菓子なら
数を盛れます。

箱書きには弘化二年{1845年}作と、記されています。
その時代に椰子の実を加工して、茶道具を作っていたとは
驚きです。しかも出来上がった形がモダンで、江戸時代
末期の作とは思えない程・・・

先人の美的感覚・遊び心に、改めて感服しま

もっとみる

北大路魯山人

「大川君、次の茶会や茶事に家の魯山人を
使って・・・」百貨店の懇意なお客様からの
有難い仰せでした。

{奥様うれしいお言葉です。しかし未だ魯山人の
茶道具を使える力が有りません。他に取り合わせる
御道具も、ございませんし。あと20・30年後に
拝借します。坊ちゃん・お嬢様に、良く言い置いて
下さいね}

こう返答するとご主人共々、大きな声で笑われました。
「じゃ私たちの、追善の時でも。何しろ父が

もっとみる