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NatureWatch 2023-04-24 ツマホシケブカミバエまとめ

にわか市民科学者です。
2023年3月31日から4月16日にかけて、ツマホシケブカミバエを観察しました。

2023年3月31日(プライベートフィールド)
プライベートフィールドで見たのが始まりでした。

目についた昆虫を片っぱしから撮影していると、どこかで見たような独特の動きをする虫がいることに気づきました。
ツマホシケブカミバエでした。
このときは、1匹だけが、食草にはならないと思われる草の上を歩いていました。
しばらく撮影して見えなくなりましたので、観察および撮影を終了しました。

プライベートフィールドにいるなら、自然観察園にもいるだろうと考えました。

2023年4月1日(自然観察園)
日光が当たった綺麗な複眼を撮影したいと思いました。
食草になりそうな植物が生えているところを探したら、1匹だけ確認できました。

2023年4月4日(自然観撮園)
今度は、捜索範囲を拡大。タビラコ的な植物に集中して探して、発見できました。
今度は、複数の個体を確認できました。

※複数とか言って、まったくいい加減です。市民科学者を名乗るのはやめます。

2023年4月8日(とある公園)
用事のついでに公園に寄って撮影しようと思い、マクロレンズを装着したカメラを持って出かけました。

ここにはたくさんいました。
食草と思われる植物の証拠写真も撮りましたが、その1株には4匹もいました。実は、写真を撮っているとき、そのことには気づいていませんでした。

※「用事のついで」とかいらない情報ですが、そのようなふらっと立ち寄ったところにたくさんいましたので、何が幸いするかわからないとしみじみ思った次第です。

2023年4月12日(プライベートフィールド)
日付はよく覚えていません。たぶんこの日だったと思います。
プライベートフィールドの草むしりをすることにしました。虫を呼び、カナヘビやトカゲ、ヤモリに居付いてもらいたいので、雑草を綺麗に抜くのはやめました。
そしてタビラコ的な雑草が生えているのを見て、移植を思いついたのでした。

ツマホシケブカミバエは、雨ざらしになるところには産卵しないと考えています。そこで雨が直接当たる場所に生えていた草を、上の方を木の葉が覆っている場所、実際にはシュロの葉が覆っている場所に移植したのです。

2023年4月16日(プライベートフィールド)
移植から4日後です。
移植した草も元気を取り戻しました。
そして、その蕾の近くを確認したら、いました。
作戦、成功です。できすぎた話ですが、素直に嬉しかったです。

産卵シーンも撮影できました。
実際に産卵したかどうかは蕾を割ってみないと確実ではないとは思いますが、状況から判断して産卵したと考えても良いと思います。

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食草の花
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蕾の塊
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根生葉
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産卵直前。
腹の先の黒いところ。産卵管基部環節と呼ぶらしい。常時見えているそれの先に何か出ているようだ。しかし、産卵管らしきものは見えない。
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産卵中。
白い乳液が出てきた。産卵管が蕾内部に挿入されたと推測。
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産卵が終わってどこかに行ってしまったのか、プライベートフィールドでこの虫を見たのは、この日、このときだけでした。

何を食草と言うべきでしょうか?

図鑑は、ツマホシケブカミバエの食草はヤクシソウであると言い切っているように思います。結果として、図鑑の情報が絶対正義と考える人たちや図鑑の受け売りで昆虫関連の記事を造るような人たちに、ツマホシケブカミバエの食草といえば「ヤクシソウ」オンリーであるといったイメージを植え付けてしまっているように思います。

では、自分が見た草は、あのツマホシケブカミバエが産卵していた草は、なんでしょうか。何タビラコでしょうか。

そう果に冠毛があればオニタビラコ、なければコオニタビラコかヤブタビラコ。また、果実の形と舌状花の数も合わせて見れば、3種を区別することができそうです。

・プライベートフィールド:オニタビラコ。未熟な果実を割って見たらそう果に冠毛がありましたので、オニタビラコと判断しました。
・とある公園;オニタビラコ。果実から冠毛らしき物がのぞいているように見えますので、オニタビラコではないかと思います。
・自然観察園;たしか果実の形がコオニタビラコやヤブタビラコの特徴を持っていたと思います。舌状花の枚数は、多いものも少ないものもありました。ということは、私が自然観察園で見たのは、コオニタビラコとヤブタビラコの両方だったということです。そのどちらにもツマホシケブカミバエがいたのですが、産卵行動を見たのは、コオニタビラコの方だけでした。去年のことです。

※そう果とはタンポポで言うと種子の部分。冠毛は綿毛。

今回、オニタビラコでの産卵行動が確認できました。従いまして、食草はヤクシソウであると書くのはやめて、コオニタビラコやオニタビラコと表記した方が良いのではないかと思います。もちろん、ヤクシソウやヤブタビラコで産卵が確認されているならそれらも書くと良いと思います。数が多くて図鑑に書ききれないというのっであれば、「〜など」としてしまっても良いだろうと思います。図鑑に全ては書ききれないでしょうから。

以上、見たことを書きましたが、きちんとした知識を持った人が確認してくれたらいいなと思います。

ハエの世界は難しいですね。見た目では区別できない種類がいるようです。解剖しないとわからなかったりします。これまで自分が見てきたミバエは、ツマホシケブカミバエではなかったなんてこともあるかもしれません。ハエの仲間は種の数が多い上に、研究が進んでいない種類も多くあって、難しいと感じます。
ちなみに、私がツマホシケブカミバエとしたのは、外観からです。他にそっくりな種がいたら、同定ミスもありうるのです。そして、図鑑に書かれているであろう「ヤクシソウ」オンリー的な表記に間違いはなかった、なんてことにもなるかもしれません。

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t.koba

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