【詩】デキるあいつに嫌いと言った

「嫌い」と言った

母が顔を真っ赤にして怒った

「本当に性格の悪い子ね」

当の本人は

ドッキリ番組を見ながら爆笑していた

その事実に腹がたった

「馬鹿」と言った

妹が顔を真っ赤にして怒った

「あんたの方がよっぽど馬鹿」

当の本人は

赤点の隠し場所を熟考していた

その事実に腹がたった

「きもい」と言った

先生が顔を真っ赤にして怒った

「なんて低俗なことを言うの」

当の本人は

美少女ゲームをしながらにやにやとしていた

その事実に腹がたった

「しね」と言った

クラスメートが顔を真っ赤にして怒った

「お前がしね」

当の本人は

手首を隠して俯いた

その事実に不安になった

「好きだ」と言った

人々が顔を真っ赤にして怒った

「今まで散々攻撃してきたくせに」

当の本人は

目をぱちくりとしばたかせ

ほんのりと笑った

「うん」

その事実に涙が出た