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童話、童謡、伝説、海外小説等

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童話、童謡、伝説、海外小説等を元に創作の短編小説を書いています。
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#二次創作

「懐胎」(原作:マザー・グース『What are little boys made of,made of?』)

 岩本天音の葬儀には大勢が参列した。  棺には花と共に様々な感情が手向けられた。同情、思…

「俺は迷子じゃねぇ」(童謡『いぬのおまわりさん』の二次創作)

「うっせぇ!死ねやクソババア」     この台詞を吐いた三年前の俺は、中学生で絶賛反抗期だ…

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「最後の1分」(O・ヘンリー『最後のひと葉』の二次創作)

「へっへっへ、俺の勝ち」  チンチロリンとサイコロを振る老人と死神。  負けた死神がチッと…

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「柱の傷は」(童謡『背比べ』の二次創作)

 ピシッ!  依子は頬の衝撃を避け損ねた。否、正確には受け損ねた。  夫の暴力をきちんと受…

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「汝(な)が靴を履いた猫」(シャルル・ペロー『長靴を履いた猫』の二次創作)

 ねーう、ねーう。ゴロゴロゴロ。 「あら、また?」  珠美が玄関に行くと、猫が革靴にじゃれ…

「今日は、何の日?」(童話『赤ずきんちゃん』の二次創作)

 少女は呆然と足元の死体を見た。  自分の右手に握られたナイフを見た。 (ヤバイ)  閃光…

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「魔法使いのティー・パーティー」(昔話「分福茶釜」の二次創作)

「あの、大丈夫ですか?」  夏菜子は路上で蹲る背中に駆け寄り声を掛けた。 「・・少し眩暈が・・・」  覗き込むと品の良さそうな老婦人だ。夏菜子は手を貸して歩道の脇へ寄せた。 「ごめんなさいねぇ、暑いせいかしら・・」 「ちょっと待っててください」  夏菜子はコンビニまで走ると経口補水液を買ってきて飲ませた。 「お宅は近所ですか?お送りします。それとも病院へ行きます?」 「まあ・・・でも・・」  遠慮する老婦人を促して家へと向かう。  それが夏菜子の運命の分かれ道だった。  老

「無音珈琲」(元にした作品:バッハ作曲「おしゃべりはやめて、お静かに/珈琲カンタ…

Schweigt stille,plaudert nicht おしゃべりはやめて、お静かに Und horet, was itzund geschi…

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「ウルフマン」(狼男の伝説の二次創作:コメディ)

「ウルフマンだ!カッケェー」  小学生男子が目を輝かせながら動画を見ている。隣の男子も顔…

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「other sky〜空色じゃない空の為に〜」(天岩戸伝説の二次創作:家族)

第1章 天照大神 「真由美・・台所に朝ご飯、置いてるからね」  返事はドア越しにくぐもる。…

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松尾芭蕉の二次創作(十七文字)

岩波や 棚に積ん読 文字の海 ・・・読まなきゃいけませんね・・・ (元の句  荒海や 佐…

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「24時の|詩《うた》」(マザー・グース「六ペンスの歌」の二次創作:ホラー)

             Sing a song of sixpence,               A pocket …

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「第二の人生」(「とりかへばや物語」の二次創作②)

 弟は僕と違って何でも持っていた。 「見た目はそっくりでも中身は違うのねぇ」  周囲の何気…

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「臍帯」(原作:童謡『小山の子兎』)

「卵の黄身ってさ、赤っぽい方が上等な気がするじゃん」 「そんな感じですね」 「でもあれって鶏の餌による色で、別に黄色でも赤でも栄養は一緒なんだって」 「へー」  白衣を着た人物が二人、研究室で卵かけご飯を食べている。 「先輩は黄身だけ派っすか。俺は白身も黄身もかける派ですね」  卵の蘊蓄を垂れた方が先輩のようだ。 「白身もかけるとご飯がジャブジャブして嫌なんだよ。黄身だけに九州の甘めの醤油を掛けて、あれば焼き海苔と縮緬雑魚。これがマイベストだな」 「拘りますねー」 と後輩は