キャピタルゲイン・3話
「仕方ない!スイングにしよう。スイングでそんなに利益出ないけど、仕方ない代わりに私、3年間は講演出るわ」
「いいんですか?」
「仕方ないじゃない。どちらにしても私がいない間の代わりは欲しかったし。」
「……」
そんな会話が飛び立ってる中私は何も分からなかった。分からない言葉が宙を舞、消えていく。
7時に集まったけどそうこうしてると8時になろうとしていた。
「わ、私学校に遅刻するので、し、失礼します」
8時半には学校に着かないといけないのに間に合うかな。初日から遅刻は嫌だなと思った。
ぺこりと頭を下げて急いで、家から飛び出ようとした時
「大輔送ってやり、自転車まだ届いてないからこのままだとスミレ遅刻だわ」
「承知しました」
福田さんと言う方が、私を送ってくれることになったみたい。
そのまま私は学校に向かおうとした。
「帰ってきたらもう少し話しするからスミレ。」
「わかりました…」
お姉さんは私が、何を話してるか分からないことを分かったのだろう。ここら辺はママとは違うと思った。
………
「すみません。車出して貰って」
「いいよいいよ。ここら辺だと車で親が送るとかは普通にあるよ?出勤のついでとかでさ」
田舎だとそんなこともあるのかとびっくりした。
都会だとそもそも車乗らないから、そんなこと起こらないし…出社遅いところもあるみたいだし。
私のところのママは寝てたし。
「ここはどう?結さんの姪だとしたら、都会とかいたんでしょ?都会よりかは過ごしやすいのはここの魅力だよ」
福田さんは矢継ぎ早に話してきた。
「ええ。先週までは東京にいましたから。都会と比べるとなってもまだ、よく、わかりません。」
「そうかそうか」
ははっと笑いながら相槌を打っている。福田さん。
人見知りとも言えないけど、流石に初対面の男の人と何を話せばいいのか分からなくて、無言のまま学校に着いた。
「あっありがとうございました」
「いいよいいよ。帰りはどうするの?」
「えーと…そうですね。帰れそうになければお姉さんに連絡します」
そう。じゃあねと言って福田さんは過ぎ去っていった。
私は頭を下げて挨拶をした。
………
「東京から来ました。種崎スミレです。」
そうい挨拶をすると、教室中が騒いだ。
都会から来た、美少女だとか。都会から来たから頭がいいぞ!とか。都会はやっぱり少し染めてるのねとか。
色々なことが言われたと思う。
しかし美少女ではない。普通である。教室の中を見ても私と変わらない容姿の人はたくさんいる。
頭は良いか悪いかでいうと普通よりかは良い方だけど。東大に入れるか?と聞かれると無理ですと即答するぐらい。
茶色になってるのは染めてはない、地毛である。東京でも多くの人が黒髪でした。
東京というネームパワー恐ろしい…
そのあとHRが終わった後の中休み、クラスの人が話しかけてきた。
「東京はどうなの?」「やっぱり芸能人そこらへんであえる?」「私も都会出て見たいけど、どこ住んでたのか」
兎に角色々なことを聞かれたが、一斉に聞かれるものだからあたふたしてたら、
「こっち」
っと言って私の手を引いて廊下に連れ出された。
「大変だったね。初日からいっぱい聞かれて」
「ええ、まあ」
「ごめんごめん、私もその一人になっちゃうかな。そうそう私は古沢 葵よろしくね」
「種崎スミレです。よろしくお願いします」
「知ってるよ。さっき言ってたじゃん」
笑われてしまった。
でも流石にもう一度挨拶するのが良いと思ったのだから仕方がない。
それ以外に返す言葉も思いつかなかったから。
「わたしも東京には憧れるけど。東京に行っても期待がないんだよね。だからみんなと違って何も聞かなかったのかも」
「そ、そうなんだ」
私も東京には期待なんてない、おそらく東京生まれの人はみんなそうだろうとも思ってる。
「ただ転校生が珍しいだけ!と言うのもあると思うけどね。ここら辺じゃ転校なんてほぼないからね。」
「東京でも高校生で編入はなかなかないかと…」
東京はみんな引っ越ししてるイメージはあるけれど、学校まで変わることは、そうそうない。
「なーんだ。都会と田舎も変わらないんだ」
彼女はくすくすと笑っていた。
「もう直ぐ1時間目始まるよ。3年間よろしくね」
「う、うん、よろしく」
そう言って慌てて教室に戻った。
3年間よろしく?
あとで知ったのだけれど、この学校ではクラス替えが存在しないのだとか。
初日はみんなに色々聞かれたこと以外には普通に過ごした。
東京と島根で勉強が違うと思いきや、存外同じで本当に都会と田舎の差は殆どないと知った。
友達は東京でもできなかったけど、葵ちゃんとは仲良くなれそうなそんな気がした。
学校が終わってから帰ろうとしたら。
小太りの男の人、そう福田さんがいた。
「何かありましたか?問題でも」
「いやいやそうじゃないよ。結さんに言われてきたんだよ」
お姉さんよ。人使い荒くないですか?
「大丈夫ですか?仕事とか。時間かなり待ったのでは?あと結さんに弱みでも握られてますか?」
「いやいやそんなことないよ。」
ははっと朝のように笑っていた。
「それより僕が高校に居た方が問題になるかも…もし何かあったら僕のこと呼んでも問題ないから」
そんなことまで、気が回る良い人なのにお姉さんや、こき使っていいのかな?
「ちょっとまだ結さん、立て込んでるからカフェでも行こうか。奢るよ」
「いいんですか?」
「大丈夫、大丈夫」
福田さんさんはそう良いならが、連れていってくれることになった。
「あと本当は知り合いと分かってても他人の車に乗っちゃダメだよ。危ないから」
それを今更言いますかと…っと思ったけど優しい人だと思った。
車で数分もかからないところにカフェがあった。
小さな家という感じで、自宅を改装してるようなん感じ、隠れ家っと言うのが私的には1番合ってる表現だと思った。
席について、コーヒーを頼んだ。
「僕のことはまだ怪しいおじさんとなってると思うから、まあ私の経歴でも話しようか」
そう言っておじさんは自分が結さんにお世話になってる経歴を語り出した。
福田さんは、普通に会社員として働いていた。けど会社が倒産して、路頭に迷いそうになった時に結さんに合った。
結さんは、「あんたはそんなことでくたばっちまって後悔ないの?あるならあんたは何ができる?」と言ってきた。
福田さんは僕は能力なんてない。
と答えたら。じゃあそのまま野垂れ死なと言った。
それを聞いて死にたくなく、無能が嫌で結さんに縋った。他人からの言葉は、やはり重たいのだろうと感じた。
「じゃあそこでデイトレをやり始めたの?」
「違うよ」
なんで?私はデイトレ勧められたのに…
勧められたのはプログラミングだった。
そこから結さんの知り合いから、学びながら仕事を請け負うようになってから今があるみたい。
「じゃあ株式投資はしてないのですか?」
「いいや、少しはしているよ。デイトレはしてないけどね」
「そうなんですね」
デイトレはしてはいないけど、投資は少しはしてるみたいだった。
今はフリーランスで働きながら、その時のお返しをするために、今日の集まりには参加するみたい。
けど殆ど毎日来ることはないそうだ。
他の人たちは平日は来るみたいだけれど。
コーヒーを飲みながらそんな話をしているのが、なんだか自分じゃないみたいだった。
「じゃあ帰ろうか。たぶん朝分からなかったことを話してくれるんじゃないかな?結さんは優しいから」
そう言ってるけれど、私は優しいとは思わなかった。ママと似ていて自分のしたいようにしてるだけと感じていたから。
車で家まで送ってくれた。
「じゃあまた何かあったらよろしくね。僕はあまり来ないから会うことは少ないとは思うけど。結さんにもよろしく伝えておいて」
「分かりました。ありがとうございました」
ははっと笑いながらまた去っていた。福田さんはあの笑いが癖なのかな?っと思った。
「ただいま」
「おかえりー、遅かったね?」
「えっと、福田さんに送ってもらうついでにカフェでご馳走になりました」
「えっ!?」
「お姉さんが言ったんですよね?」
「いや私何も言ってないよ。あいつ女子高生狙いか?」
何かぶつぶつ言ってたけど、高校生狙いは、ないと思う。思いたい。
「まあそれは後でしっかり聞くとして、朝の続きだけど…」
しっかり聞くのね。
お姉さんはスイングトレードの話をしてくれた。
要約すると、
デイトレード、名前の如く1日とかでトレードを行う。
スイングトレードは数週間、数ヶ月にかけてトレードすることみたい。
「スイングトレードだと利益は出にくいのですか?」
「出る出ないかは出る、けど色々な運が絡みやすくなるからね。難しいんだよ。」
「デイトレは運が入らないのですか?」
「いるよ?」
ん?それだと何も変わらないのでは?お姉さんが言ってることは何一つ分からなかった。
「私が不得意ってことだよ。」
その一言で意味は分かった。
そこから投資のことを少し聞いてから、明日を迎えることになった。
「じゃあ、明日は8時に起きてね」
「いやだから、私学校が…」
「ああそうか…」
お姉さんは何も学習してなかった。
「とりあえず明日から始めるけど、私が株を買っとくね!」
「ありがとうございます」
「100万貸だからね!出世払いでよろしく」
「お姉さんは最後に凄いことを言った」
私は高校1年生にして借金100万円から始まった。
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