台湾の同姓婚合法化での市民の議論のまとめに心を打たれた、という話

『ふるまいよしこ』さんのノートより。

同姓婚、同性愛に関する話題は、鍵代わりに有料記事にしようと思ってたのですが、おすすめで表示されてきたこのノートに心を打たれたので無料記事として一筆。
ここで大真面目に語るのもなんか気が引けますが、書かせてください。
また、先に、部分部分とはいえ、引用が多くなってしまうことを、原著者(訳者)である『ふるまいよしこ』さんだけでなく、これを見てくださっている皆さんにもお詫びいたします。(出来ればノートリンクで引用が通知されれば良いのですが……!)

あと、何か解釈違いをしていたら申し訳ありません。

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さっそく引用させていただきます。

「(前略)同性愛者の基本的人権を尊重することになるのよ」

もうここだけで、ああ、と驚かされたというか、はっと気づかされました。
その後の会話でも触れられていますが、同性愛者は基本的人権を認められてこなかった、ということです。

「いじめ」のそれと似ている気がします。当然、「いじめ」には差別も含まれていますが、その他にも、「暴力」「罵倒(暴言)」「窃盗」など、大人であればれっきとした犯罪であり、当然少年でも補導されるようなものばかりです。
健康でいる権利、平等な待遇を受ける権利、財産権など、様々な権利を、「いじめ」を受けた人たちは侵害されています。

話を戻しましょう。この会話では、「結婚する権利、離婚する権利」について触れられています。

「あなたが異性愛者で、国が保障する一夫一妻制度の婚姻制度に従いたい、結婚がつまらないから離婚したい、というのなら、それら(の権利)は国が保障してくれてるわ。」

どうでしょうか。現在の日本でも(一部の自治体・条例レベルでは別ですが)、異性が結婚する権利は上のとおり法律で認められてますし、離婚する権利、またそれに関係することについても同じことがいえます。
もちろん一部の国では、「宗教的な理由」など様々な理由から、同姓婚に関する法制化が難しいのは理解はしていますが、国教を定めてない限りは、認めても(別の人が)損する事ではない、と自分は考えます。

また、その平等・秩序についても(合法化の支持者によって)詳しく説明されています。

「国の法治というのは秩序を守ること。どうやって? 法律によってよ! そうすることで多数者が少数者をイジメたり、強者が弱者をイジメたりすることがなくなるのよ。」

また、このようにも説明されています。

「(だからわたしたちは誰も差別しないわ、という反対派に対して)でも、わたしたちの法律は同性愛者を差別している、これは間違いないわ。だって、彼らの結婚を許していないんだもの。彼らが普通の人と同じように、継承権や医療権を持つことを認めていないのよ。法律が認めるべきすべての権利を彼らから奪っているのよ、お嬢さん。」

日本では(おそらく台湾でも?)、一部の自治体が法律より効力の弱い「条例」によって認める動きもあります。しかし、憲法によって保障されているはずの基本的人権(ここでいう「結婚する権利」に始まる様々な権利)が、憲法を反映しているはずの法律では認められていない、ということがいえます。
少なくとも、国教が定められていなく、基本的人権が認められている以上は、それを縛るものはないはずなのですが。

そして、そのしばらく後に、レズビアンのカップルを例に挙げて、次のように具体的な説明がされています。(その部分の全文を引用するには長いのと、ぜひ元の文章を読んでいただきたいので、引用は最後の一部分のみにします)

「彼女たちが奪われているのは、結婚式という儀式のことだけじゃないの。全人生において味わうことができるはずの保障なのよ。財産権が保証されて、初めて彼女は遺産を継承することができるのよ。そうすることで初めて相手が病気の時に、パートナーがお見舞いに行けるのよ。」

つまり、もし、「結婚」が認められているということは、このような様々な、「人生に関わる様々な権利」が認められる、ということであり、(合法化の支持者は)基本的人権が認められるのであれば、同性愛者も同様にそれらの権利が認められるべきである。また、その法律がないということは(同性愛者に対する)基本的人権の侵害(差別)である、という主張をしていることが分かります。

そういえば、米国次期大統領に決定する(選挙人による投票自体はもう少し先らしいので)ドナルド・トランプ氏の発言で、「同姓婚を認めない」と言っていたのが、当選後「連邦裁判所が認めているのだから、合法だ」と事実上撤回していたことを思い出しました。
米国の憲法で、結婚についてどう言及されていたかは知らないのですが、「自由」を謳(うた)う国である米国で、近年までそうした「法律による差別」がされていた事実があります。
また、発言を撤回した現在でも、その選挙中の発言を理由に(根拠として)、様々な人種・宗教・マイノリティーの人たちが差別されていると聞きます。

引用はここまでにしますが、ぜひ原文をお読みください。
読んでいくと分かりますが、最終的には反対派である相手も、賛成派(支持者)の主張を理解して、円満に議論が終わっています。

改めて、引用させていただいたノート

法律は、基本的に「差別」されたりだとか、「損」をしないように整備されている(いく)ものだと思いますが、こうした議論を見てみると、資本主義である以上、金銭面での損得(格差)はあるにせよ(もちろん損をしている側も生活に困らない程度が良いのですが)、人生設計でも損をしている人たちがいて、それが認識されていなかったり、黙認されているように思えました。

願わくば日本でも、同姓婚ももちろんですが、他の様々な問題(保育園の問題など)においてもこのような建設的な議論・説明が出来れば良いのですが、シルバー民主主義(少子高齢化が進んだ状態の民主主義)の状態にある日本(米国もそうですが)は、少なくとも「損をする人たち」を減らすようにしていくことは出来るのでしょうか。
どんな問題でも、その問題に関係の無い、当事者でない人たちが大きな声で反対して、本当に必要としている人たちが「損」をしてしまっているように感じました。

今回の話については以上です。

(余談)
それにしても、「おすすめ」機能、良いですね。
この話だけでなく、色んな分野の話を見られて、Twitter(やMediumもいまいちな気はしますが)に比べて知見が広まって良い機能だと思います。

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