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学生時代、部屋でのバーベキュー

先月の退職以降、1日のほとんどを部屋で過ごす日々がつづいている。外に出るのは2日、あるいは3日に一度くらい。ワインや夕食を買いに近所のスーパーへ出かける程度。それ以外は部屋。

いつも通りスマホは機内モード、電話を留守電。未読・既読とかが面倒くさそうなアプリはインストール自体していない。玄関のインターフォンには「在宅ワークのためベル押し禁止」と貼り紙。

そのような環境のもと、好きな本を読んだり、気ままに料理してみたり、エアロバイクを漕ぎながら映画を見たり、、誰にも介入されない、自分だけの時間を満喫している。

日の明るいうちからワインを飲み、心地よい浮遊感に身を委ねていると、すぐ目の前に建つ家の白い壁が、まるで南イタリアとか南スペイン、あるいはギリシャ・サントリーニ島の街並みと重なって見える。椅子を動かし、自分がその場にいるような妄想に浸りつつ、外からの風に身を晒す。

窓を開けておけば、8月という夏の盛りでも昼夜を問わずクーラーなしで十分に過ごせるのを発見した。特に失うものもないので、夜もそうやって窓を開け放して眠っている。近隣住民は皆マナーが良く、夜中に騒いだりする人は誰もいない。

学生だった頃、部屋でバーベキューをしたことがある。大阪市東淀川区東淡路3丁目のわが部屋に友人たちが10人以上集まった。講義とアルバイトを終えてからの集合だったので、必然的に開始時間は遅かった。夜10時を回っていたのではと思う。それまで自分は部屋を掃除したり、ベランダで炭を起こしたりした。

徐々に人が集まってきて、バーベキューがスタート。一酸化炭素中毒にならないよう、窓を完全に開け放した状態での宴だった。男も女も入り乱れて、朝方まで酒、そして肉。学生しかいないマンションで、ときどき他の部屋からもそういった馬鹿騒ぎが聞こえる環境ではあった。

翌日の講義に合わせ、ろくに寝ないまま、みんなで午前9時過ぎに大学へ向かった。学生らしい粗雑さで誰もシャワーは浴びなかった。炭火とか肉、酒、そして汗の淫媚な匂いを漂わせていた。

それから20年以上が経った。結婚した者や離婚した者、辛い別れを経験した者、安定した会社で堅実に生きている者、行方知らずになった者、、それぞれの日々を苦さ、甘さと共に生きている。

ギリシャの島(イドラ島)


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