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ライジング若冲を観た。

いやもう良かった。元々語彙力がないところへこれ観て全てが消滅し、甦りました。生まれたてなので温かい心で読んでやってください。以下ネタバレ含みますので自己責任でどうぞ。

ライジング若冲

お話は江戸初期、京都錦市場の青物問屋のボンボンだった伊藤若冲という天才絵師と、その才能を早くから見出した禅僧であり、漢詩人の大典顕常との深い友情や周囲の文化人とのかかわりやらそれぞれの葛藤やらを描いた時代劇です。まあ詳しいことは調べてください。

個人的には若冲に池大雅、丸山応挙、そして一瞬でしたが長沢芦雪(わからなかったんですが、字幕で観てたら出てたらしい)は好きな作家軍団なので、その辺を扱うというだけでも観る気満々だったのに、それぞれの魅力や人間ドラマは、表現者なら「あ~」と思うことが多々あったと思います。メインの二人以外で良かったのは応挙でした。可愛い。子犬も可愛いけど可愛い子犬描いてるお前が一番可愛い。

あとあんま詳しく知らなかったんですが、売茶翁。あのお茶屋さんスタイルがとても素敵でした。小道具も良かった。あんなお店で一服いただきたいです。NHKのドラマはいちいち美術がいいです。

でも何といってもメインはW主人公でもあった若冲と大典の深い友情。いや、これ作り手も視聴者もそれぞれの想いがあるとは思うんですが、もう何というか、結婚式でした(笑)。愛です。魂と魂が結びついたというか、もう…はい…ありがとうございました。あれほど相国寺の壁になりたいと思ったことはありませんでした。あと短い話だったおかげとも言えるかもですが、余計な女が出てこないのがいい。唯一出てきたのが池大雅の妻で、自身も絵師の池玉瀾ですが、彼女の元々の性格もあってか、あくまで池大雅と共に生きる絵師の一人のような扱いだったので、ほとんど前には出てこない作りだったのが、何よりこの世界感を壊さないので非常にいい。これヘタすると彼女が変に口出ししたり、アドバイザーみたいな感じでしゃしゃり出る作りにできなくもないのに、こういう形でとどめたのは正解だと思います。まあ16日の完全版があるので気は抜けませんが。

ちょっと横道に逸れましたが、ラストの結婚式とハネムーンは目を覆いたくなるけどガン見してしまう美しさ、初々しさ、気恥ずかしさ、何言ってるんですかね…でもその通りなんですよ。友情だか何だか知らんけど、そこに確実に愛があるという…もうね…好き。また若冲が混じりけのない人の好さで品がある。嫌味がない。その上とんでもない才能の持ち主。対する大典も漢詩の素晴らしい才能(私はアホなのでそれがどのくらいなのかもわからない状態ですが)を持ち、しかも僧としての仕事も出来て、さらにはそのことで素直に葛藤し、結果大胆にも表現者としての道を選ぶところもいい。二人の関係もお互いをまぶしい光ととらえ、認め合い支え合い認め愛支え愛…想いあっているのに、いや、想いあっているからこそ、長い間お互いを待てるところもいい…こんな素晴らしい愛情表現を美しい映像で観ることができて、正月から感謝です。完全版を観るまで気が抜けませんがこれでこれ以上の完全版となるようなら、本当に円盤化をよろしくお願いしますNHKさん…(合掌)

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