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故郷にて③

 ロシア語の勉強に加えて、英語の勉強も始めることにした。なけなしの金をはたいて「中学英文法を修了するドリル」を購入した。まだ開いていないが、今晩にも始めようと決めている。

 基本的に、『他言語』取得が非常に苦手である。これは大学受験、大学を通じて痛感したことなのだが、どうにも他国の言語が身につかない。自分の勉強方法がまずかったのか、そもそも言語取得の才能がないのか判然としないが、いずれにせよ必死に勉強した英語は全く点数が伸びなかったし、現在ほとんど忘れてしまった。

 いつも「秀」だったロシア語でさえ、結局ほとんど忘れ去ってしまっていたのだから、言語は使わないと本当に忘れてしまうのだと思う。大学一年生の時にみっちり学習したはずのドイツ語も、いまははるかかなただ。

 実は、いま勉強したい言語は、実は英語ではなく中国語なのだけれど。

 もともと中国には全く興味がなかったはずなのに、モスクワ留学を経て俄然興味が湧いてきてしまった。私が出会った中国の人たちはみんなアグレッシブでガッツがあり、非常に強かでかっこよかった。その「大陸のメンタリティ」に憧れたし、シンプルに友人と彼らの母国語でしゃべってみたくなった。彼らのことが好きだから、彼らの母国語も、文化も、知りたくなった。

 ロシアに関してもそうだけれど、「好きになる」というのは本当に、最強の武器だと思う。「好きだ」と思えば興味も沸くし、やってみたくなる。この「好き」という感情を育てていくことが大切なのかなと思った。「好き」は何よりのモチベーションになる。

 またモスクワに行けるかどうかはわからない。将来のことが何も見えていないいまだけど、この「好き」という気持ちだけは絶対に潰さないようにしたい。大学を卒業してからいまが一番「生きている」と感じる。好きでないことに対して努力をし続けられるほど真面目でいられなかった自分を半分恥じつつ、半分誇りに思いつつ、無職の今日を生きている。

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