YOASOBI、バレンタインデーの夜にファンへの愛を込めた1st LIVE「KEEP OUT THEATER」
2021年2月14日、YOASOBIの1st LIVE「KEEP OUT THEATER」が開催された。
2020年の音楽業界を席巻したYOASOBI初のライブは、無観客の配信によって実施された。
■ライブレポート
・オープニング
開演を伝えるアナウンスが終わると、コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraがバンドメンバーとともに映し出され、演奏を行うステージへと移動するシーンから配信はスタートした。
バンドメンバーが先にステージへと進み、それに続いてAyaseとikuraが横に並んで何かを話しながらステージへと向かっていった。
二人は時折笑顔を見せながら歩を進め、最後はグータッチをしてそれぞれの場所へと別れた。
・あの夢をなぞって
近くを走る電車が通り過ぎると、ikuraが『あの夢をなぞって』をアカペラで歌い始めてライブはスタートした。
ikuraは歌詞に合わせて斜め上を見上げながら歌い、Ayaseは手元に広がる複数の楽器を操っていた。
また、バンドによる生演奏であることを活かし、CDとは異なるアレンジでギターソロが演奏された。
・ハルジオン
『ハルジオン』のイントロが流れる中、ikuraが「KEEP OUT THEATERへようこそ」とカメラに向かって告げると、それまでは暗めであった舞台照明が明るいものへと切り替わり、壮大なセットが映し出された。
バンドメンバーもAyase、ikura同様に画面に登場し、バンドメンバーも含めてチームYOASOBIであることを意識させた。
・MC①
まだ少しの緊張をにじませる最初のMCでは、ikuraによって会場が「新宿ミラノ座」の跡地で、新たな施設を建設中の工事現場であることが明かされた。
ikuraは「立ち入り禁止の場所に忍び込んでいるような、YOASOBIという名前にふさわしい場所」と話した。
その後、生配信であることを証明するためにコメントを読み上げる流れになると、「(会場が)おしゃれやん」というコメントに対しikuraが「せやね」と返し、笑いを生んでいた。
また、着用した衣装は「白のMA-1に自分たちでスプレーを吹きかけた」(Ayase)というオリジナルデザインで、バンドメンバーも同様にそれぞれのコンセプトに合わせた世界に一着しかない衣装を着用していた。
会場は工事中であるため風が通り抜けて寒いという話になり、「みんなはおうちでぬくぬくと」観ているに違いないとikuraが述べると、すかさずAyaseが「それは(ファンを)煽っている」と笑い、ikuraは「お客さんと仲良くなりたい」ためあえて言っていると説明した。
・たぶん
同じ部屋で過ごした二人の別れの朝を描いた『たぶん』の中で、ikuraは細かな息づかいで抑揚をつけ、切ない感情を表現していた。
転調後のラストサビでは、その切なさの中にある少しの強さをイメージさせるように力を込めて歌い上げた。
ikuraが曲の音に合わせて指を鳴らして演奏が終了すると、周囲を走る電車の様子も映し出された。
・ハルカ
次に披露されたのは、バラード調である『たぶん』とは打って変わり、キャッチーなメロディーから始まる『ハルカ』であった。
暖かさを感じられる曲に合わせてステージがピンクにライトアップされた一方で、「ひとり不安な日々に」という歌詞では照明が一瞬暗くなる演出が施されるなど、細かなこだわりを窺わせた。
・MC②
直前に演奏された『ハルカ』の原作が鈴木おさむ氏の『月王子』であり、マグカップが一人の少女を追い続ける話であることから、マグカップを使った乾杯をカメラの前のファンに呼び掛けた。
ファンが飲み物を用意するのを待つ間にAyase、ikura、バンドメンバーの乾杯ドリンクを紹介する流れとなった。
順番が最後となったikuraは自分のマグカップに入っている飲み物が何かわからず、乾杯前であるにもかかわらず先に飲んでしまうというミスを犯すも、他のメンバーの優しさによってノーカウントとされた。
※それぞれの飲み物は以下の通り。
・ノンアルコールビール(ドラム・仄雲)
・緑茶(ベース・やまもとひかる)
・ブラックコーヒー(ギター・AssH)
・コーヒー(キーボード・禊萩ざくろ)
・緑茶(Ayase)
・緑茶(ikura)
・怪物
乾杯を無事終えると、2021年1月より放送されているBEASTARSのオープニングテーマである『怪物』から後半がスタートした。
「周りの人に言えないような悩み、葛藤、夢を追う中での迷い」を抱える人に向けて「背中を押せるような歌を」というikuraの言葉に続く10からのカウントダウンの後に演奏が始まった。
ikuraは、力強く歌うことで「僕」の葛藤を表現した。
ラストサビでは大量のスモークが焚かれ、迷いの中でも何かを決心したかのような描写であった。
・アンコール
『Epilogue』がバックで流れる中、「毎日おびえるような日の中で皆さんと画面を通して繋がり合うことができて幸せです。今日も明日も音楽が鳴り続けますように」というikuraのMCで『アンコール』が始まった。
1st EPと同じ流れでスタートしたこの曲の「夜のない世界」という歌詞に合わせたように、明るい照明による演出が施されていた。
足元にはスモークが焚かれ、情緒豊かに歌い上げたこの曲の中でも、「ピアノ」という歌詞に合わせてピアノが映されるなど、聴覚と視覚をリンクさせて曲の世界観への没入を誘った。
・MC③
最後のMCでは初めてのライブを迎えるまでのことを振り返った。
ikuraは「YOASOBIという活動が始まってから追いつくのに必死」で「怖さがすごくあった」ものの、「この場に立てていることも音楽を続けられていることも幸せ」であると語り、Ayaseやバンドメンバー、スタッフ、そしてファンへの感謝を伝えた。
Ayaseは「しんどいこともたくさんあった」中でもikuraやスタッフと手を取り合って駆け上がり、新たなスタッフやバンドメンバーが加わってくれたことへの感謝を述べ、「恵まれている、幸せ者」であると感慨深げに語った。
二人はライブが終わってしまう寂しさに触れつつも、「続けている音楽を画面の向こうのあなたにもしっかり届けられたら」(Ayase)と述べて終盤へと突入していった。
・夜に駆ける
こたつの中でPCで作り、「デビューから引っ張ってくれた大切な曲」(Ayase)である『夜に駆ける』は、ikuraが大きく息を吸い込んで始まった。
ikuraは全身を使って躍動感を持って歌い、大切な楽曲を丁寧に歌い上げた。
ステージは七色にライトアップされ、手を模したプロジェクションマッピングが映し出されるなど、この楽曲へのチームYOASOBIの想いを感じさせた。
・群青
1st LIVE最後の曲となったのは『群青』で、ワンカットMVのようなカメラワークが施された。
曲中、ikuraはカメラに向かって拍手を促し、Ayaseはコーラスにも参加するなど、楽しんでいる様子でフィナーレへと向かっていった。
また、ikuraがそれぞれのバンドメンバーに駆け寄り、チームYOASOBIとしての団結力を窺わせ、「大丈夫」という歌詞ではAyaseとikuraが顔を見合わせ頷き合った。
・エンディング
『群青』の演奏が終了すると、「ありがとうございました」という挨拶とともに前へ進み、工事中の建物の柱にサインを書き残して二人は退場した。
「KEEP OUT THEATER」という文字が映し出されると、そのままカメラは二人のサインと同じように柱や壁に直接書かれたスタッフの名前を映し始めた。
工事中であることを活かした演出で、最後まで”夜遊び心”でファンを魅了した。
■YOASOBI 1st LIVE「KEEP OUT THEATER」セットリスト
01. あの夢をなぞって
02. ハルジオン
03. たぶん
04. ハルカ
05. 怪物
06. Epilogue
07. アンコール
08. 夜に駆ける
09. 群青
バンドメンバー
Gt. AssH(@AssH_Guitarist)
Key. 禊萩ざくろ(@mshg_zqr)
Ba. やまもとひかる(@RUMVERworld)
Dr. 仄雲(@honogumo)
※( )内は各メンバーのTwitterアカウント。
■YOASOBI(プロフィール)
2019年に結成されたコンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる「小説を音楽にするユニット」。
2020年には、第一弾楽曲である『夜に駆ける』がBillboard Japan 総合ソングチャート"HOT100"にて2020年年間1位を獲得し、紅白歌合戦にも出場した。
2021年1月6日には1st EP『THE BOOK』をリリースし、同年3月24日にはシングル『怪物 / 優しい彗星』の発売が決定している。