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ズーマ/恐怖のばちあたり

88年・フィリピン

いわゆる「遺跡発掘、太古の怪物出てきてコンニチワ」ものですが、怪物ズーマの「全身緑色、両肩からヘビが生えてて、赤フン一丁」という姿もさることながら、ストーリー、セリフなどすべての要素がアナーキーさをかもし出している、なんとも不思議な作品です。

巨大な塔の遺跡から、太古の人間ククール人(ズーマ)が蘇り、麦わら帽にロングコートという、やたらガタイのいいカカシのような格好で、街に現れては処女を襲い、心臓をつかみ出しては食われるという事件が続発します。

警察署長と遺跡を発掘した博士は「このままでは処女がいなくなっちまうべ!」、「んだ、んだ。」と博士の恋人を囮にして、ズーマをおびき寄せます。
そんなことを知らないズーマは、待ってましたとばかり、「どーだー!」とコートをはだけ、股間のニシキヘビを博士の恋人の眼前に露出させますが、「何その、ミミズ?」と突っ込みを入れられ、うなだれている隙にとっ捕まってしまうのでした。

しかし、ズーマの子供を身ごもっってしまった女を「殺せ!」だの「子供に罪は無い!」だのゴタゴタやっているうちにズーマに逃げられ、身ごもった女も殺されたかと思ったら、女の死体から逃げ出したズーマの精子(オタマジャクシ大)が飛び出し、看護婦の子宮に入り込み、肩からヘビ生やした元気な女の子が生まれてきます。

娘の引き渡しを要求するズーマ・パパ、見事に取り返しに成功しますが、緑色の父親を見てビビった赤ん坊は肩のヘビで逆襲。「うっ!」とその場で倒れ込むズーマ・パパ。そのまま19年も眠りこけてしまうのでした。

ズーマの子供は遺跡を発掘した博士と恋人の子供として育てられ、両肩のヘビ以外はお母さん似の19歳の娘に成長しています。
しかし、やはりズーマの娘。野郎にいいよられても「あっふん!」と悶えた勢いで肩のヘビで噛み殺しちまいますし、ごろつきにレイプされそうになれば(ヘビの)口で昇天させてしまうといった始末ですから当然処女のままなのでした。

そんな中、眠りから覚めたズーマは街に出て、ローラー車、マシンガンを持った軍隊、棒切れを持ったあんちゃんたちを倒し、元警察署長の市長のもとへ現れます。立ち尽くす市長、ズーマに叫びます。
「ズーマ!!ばちがあたるぞ!」

ズーマは市長をさらい、遺跡に立てこもります。
ほっときゃいいのに軍隊がズーマをやっつけるために遺跡に進入しようとしますが、危険なため(笑)、ズーマの娘が入ることになりました。
しかし、ズーマに密室に閉じ込められてしまい、娘は「処女の心臓あげるから許してぇ!」とお願いして許してもらいましたが、ばちあたり市長は首ちょんぱされ、「約束だろ。」とズーマ・パパは娘に襲い掛かります。しかし、運命とは恐ろしいものです。
「コラーッ!!このばちあたりものめが!」
とククールの神の怒りをかったズーマは崩れてきた遺跡の下敷きとなってしまうのでした。ちゃんちゃん。

〈教訓〉警察よりも軍隊よりも、ご先祖様は恐ろしい。

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