見出し画像

トピック09|2050年の「オフィスの役割」はどうなる?

山下 陽子
㈱エックス都市研究所
サスティナビリティ事業本部まちづくり・社会システムチーム

コロナの影響により、「テレワーク」を実践する企業が増えてきました。2050年、働き方として「テレワーク」が定着したとき、オフィスに求められる役割はどのようにかわるのでしょうか。

オフィス需要は変化する?

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、テレワークや時差通勤を導入している企業が増えてきました。ニッセイ基礎研究所の不動産投資レポートによると、テレワークを継続することにより、東京都心のオフィス空室率は上がるものと試算されています。このテレワークを今後とも継続していくことにより、オフィス面積は現在よりも少なくてよくなるのでしょうか。

空室率(切り出し)

東京都心の空室率の推移(出典:ニッセイ基礎研究所)

オフィスに求められる機能とは?

テレワークを実践していると、オフィスの自席でする仕事と、自宅のデスクでする仕事、同じようでやはり違いを感じます。自宅での仕事は静かで邪魔が入らないという利点はあるものの、「静かすぎる」というのにも欠点があるように感じました。何気ない隣席からのつぶやきや他チームから聞こえてくる何気ない会話などが、コミュニケーションの形成や業務の気づきにつながる情報収集に繋がっていたのかもしれません。

ITmediaビジネスの「テレワークが長期化したら深刻化すると思う課題ランキング」によると、「コミュニケーションの取りづらさ」「社内連携のしづらさ」は多くの人が感じている課題のようです。今後テレワークが一般的になったとき、オフィスに求められる機能はどのようなものになるのでしょうか。

課題ランキング(切り出し)

テレワークが長期化したら深刻化すると思う課題ランキング(出典:ITmediaビジネス)

将来を考えるためのヒント1 ~コミュニケーションをとりやすいオフィスづくり~

都内の企業の中には、執務スペースだけでなく、社員の交流をより促進するためにカフェ等を設ける企業があります。三井地所株式会社で整備したスペースは、おしゃれなカフェレストランのような雰囲気ですが、Wi-Fiが整備され、必要に応じてスピーカーやプロジェクターが利用できるため、飲食だけでなく作業や打合せに利用することも可能です。こうした共用スペースにより様々なコミュニケーションが偶発的に生み出され、新たな発想につながり始めているようです。

三菱地所

社員の交流をより促進するためのカフェスペースオープンの事例:三菱地所株式会社(出典:東京都産業労働局 TOKYO働き方改革宣言企業)

将来を考えるためのヒント2 ~イノベーションの場となるオフィス~

今後テレワークを活用して、日常的な業務やミーティングを行うことが一般的になると、リアルに顔を合わせることがとても貴重なものになることが考えられ、オフィスの立地により、イノベーションのための都市集積の価値が高まることが期待できます。「オフィスの未来に関する調査(不動産協会)」によると、シンガポールでは、政府・企業・大学が連携することで新しい技術や起業家を生みだす仕組みを整えています。シンガポール国立大学に隣接したロケーションに、公的研究機関や民間企業が入居する[JTC LaunchPad@one-north]が立地していたり、バイオ関係の研究所にとって必須の実験装置、診断装置カンファレンス施設などの様々なサービスの提供や、研究者のためのレストランやジム、コンビニも完備しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?