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トピック05|2050年の「ショッピング」はどうなる?

堂下 和宏
さいたま市 都市局 都市整備部 東日本交流拠点整備課

2020年から30年後、2050年のショッピングはどうなっているでしょうか。
逆に30年前の1990年はどうだったかと考えてみると、バブルの時代です。ミレニアル世代の筆者には想像のつかないようなお金の使われ方もなされていたのでしょう…。一方、インターネットやスマートフォンの普及等により、当時多くの人が想像しなかった手段と速さによるショッピングが行われているのが現代です。

近年、ネットショッピング市場がますます拡大するなか、通信技術の向上やコロナ禍によってVR空間でのショッピングにも注目が集まっています。果たして2050年のショッピングはどうなるのでしょうか?

余暇の過ごし方の傾向

国土交通省の行った調査(※1)によると、「余暇の過ごし方」として「ショッピング・映画鑑賞に出かける」は全体の中で2位にランクインしています(1位は「自宅で休養(ゆっくりする・寝る)」)。現代において、ショッピングに出掛けることは余暇活動の中心となっていると言えます。

一方、別の調査(※2)では、20代の男性が休日に外出する回数がこの30年間で半減しているとの結果もあり、若者を中心に自宅で余暇を過ごす傾向が高まっているとも言えます。(30年前に若者がスキー場に行き過ぎた、ということかもしれませんが)

2050年には、今の20代が働き盛り世代の中心ともなっており、今より多くの世代において自宅で過ごす傾向が高くなっている可能性も考えられます。

※1 平成30年版国土交通白書(国土交通省)
※2 平成27年度全国都市交通特性調査(国土交通省)

ネットショッピング市場の拡大

「ショッピング」と聞くと、Amazonや楽天市場などを利用したネットショッピングを真っ先に思い浮かべる方々もいるのではないかと思います。こうしたネットショッピングの市場規模は年々拡大しており、国内ではこの10年間で約2.5倍となっています。

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日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)
(出典:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)経済産業省)

さらには、通信技術の向上やコロナ禍によって、VR空間でのショッピングにも注目が集まっているようです。また、インターネットを通じてアバターで店員と会話をし、現地にいなくとも出かけた気分を味わいながらショッピングが出来るような取組みの実証実験も始まっています。

こうしたショッピングの形が今後も加速度的に進んだ場合、中心市街地の百貨店や商店街、郊外のショッピングモールなどでのショッピングシーンにも大きな変化が起こることが予想されます。

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ANAと三越伊勢丹がアバター専用店舗を期間限定でオープン(出典: ANAホールディングス株式会社・株式会社三越伊勢丹プレスリリース(2019年12月4日))

将来を考えるためのヒント

いま小売業界では、リアル店舗とネットショッピングとの連携やデジタル・バーチャル技術との融合によって、双方の利点を生かす取組みが模索されています。
ネットショッピング自体は今後もほぼ確実に拡大していく中で、それらがどの程度外出機会を伴って行われるのか、はたまた、より自宅で完結する傾向が強くなるのか、こうした取組みが鍵を握りそうです。

一方、現在は比較的店舗数を多く抱えた大企業による企業単位での取組みが中心です。地域に多数存在する小規模な個人店舗がこうした取組みにどのように関わることができるか、また、商店街をはじめ地区や地域として多様な主体が連携しながら取組みがなされるかどうか、といったことが2050年のショッピングシーンを考える上では重要な要素となるのではないかと思います。

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ユニクロがリアルとバーチャルの融合を体現した店舗をオープン(出典:株式会社ユニクロ プレスリリース(2020年05月28日))

駅前の百貨店や商店街に人が集まってショッピングをするという、ある種バブルの時代には当たり前であったショッピングシーンがすでに現代においても成り立たなくなっています。都市行政に携わる一員としては、技術を含めた様々な変化やパラダイムシフトは受け入れつつも、これまで当たり前であった「街なかに人々が集まって過ごす」シーンにこれからもどうにかこだわっていきたいものです。

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