アップアップガールズ(2) 8人の偶然、あるいは必然 第7回この世で最も美しい、最も誇り高い、最も恐ろしい、最も優しいアイドル・中川千尋

中川千尋

アップアップガールズ(2)のメンバーひとりひとりの魅力を掘り起こすこの連載、今回は静岡から通っている高校一年生、ちーここと中川千尋を取り上げます。アプガ(2)に、2期メンバーとして加入した中川の底知れないアイドル力に戦慄してもらいましょう。

中川千尋がアプガ(2)の2期メンバーとして姿を現したのは、2018年4月12日、新宿BLAZEで開催された初の単独ライブ「アップアップガールズ(2) 1st LIVE #アプガ2サプライズ 」でのことでした。

「アップアップガールズ(2)オーディション」は、まだ終わっていなかった…といきなり発表され、最終報告として1年の研修期間を経た2期メンバー2人、中川千尋、佐々木ほのかの加入が発表されました。

中川千尋はなぜ、「アップアップガールズ(2)オーディション」の受けたのでしょう?
中川は小さい頃からアイドルが好きだとか、アイドルに詳しいとかそういう子ではありません。
『STAR WARS』やプロレスなどが好きという濃い趣味趣向が、加入後に徐々に明らかになっていきましたが、アイドルに関してはまったく知識もない素人でした。

アプガ(2)になって最初のブログには、初々しい写真と共に“アップアップガールズ(仮)のライブを観てアップアップガールズになりたいと応募した”という理由が書かれています。

実は中川は小学生時代、アプガ(仮)お姉さんたちと共演したことがあるのです。

小学生の頃から、地元のケーブルテレビで放送されている「ミシラジTV」に時折出演していました中川は、レポーター役としてアプガ(仮)と絡んでいます。

ミシラジTVには6歳くらいの頃から出演していたようです。

アップアップガールズ(2)になってからも、出演中です。

さて、中川の子どもの頃の話はこちらのインタビューで詳しく語ってくれています。

アップアップガールズ(2)中川千尋が語る自分自身「ちーこという仮説」【前編】

アップアップガールズ(2)中川千尋が語る自分自身「ちーこという仮説」【後編】

この【後編】で、小学校に入る前は暗かったこと、空手を習い始めて心も体も強くなったこと、正義感が強かったこと、小学生でアプガ(仮)というアイドルに出会い、アプガになりたいと思い、両親の勧めでオーディションを受けて、アプガ(2)になったことなどが語られています。

中川は幼い頃からアイドル性はあったのでしょう。
家族で海外旅行に行ったときに、おばさんたちに可愛いとサイン会が開催されたりしたという発言もしています。

アイドルになる前から、アイドル性はあった中川ですが、アイドル・アプガ(2)になってからは試練の日々が続きました。

さきほどのインタビューでも書かれていますが、アイドルが大好きでアイドルになりたくて上京してきた同期の佐々木ほのかは、本当に中川と対照的な存在です。
幼い頃からステージに立ち、小学生からアイドル活動をしていた佐々木はアプガ(2)に入っても、ダンスもしっかり踊れ、歌もある程度は歌えていました。
それに対して中川はダンスも歌も未経験で、アイドルの知識もほとんどなく、研修生になってから自ら地元のダンス教室に通ったり、佐々木にアイドルのことを学んだりしていたといいます。
アプガ(2)に加入直前のダンス動画と歌動画がこちら。

正直どちらも、現在とは比べようもない、まだまだ素人と言わざるを得ないものですが、未経験から努力をし、アプガ(2)になり、そこからさらにレッスンを重ね、中川はステージデビューを果たします。

2018年7月7日、恵比寿RIQUIDROOMで開催された「アップアップガールズ(フェス)」が彼女の初ステージでした。

先輩メンバーたち、そして同期である佐々木ほのかに必死に食らいついていっているのがわかります。なんといっても中川は、冒頭のセリフのエンジェル担当。笑顔でその大役をこなしているのです。

アイドル未経験者ながら、なんとかステージデビューを果たした中川に、過酷な試練が訪れたのはその1か月少し後、「アップアップガールズ(2)&(プロレス)メンバー対抗実力診断テスト」でした。
動画などは、公式では、残っていませんが、当時のニュース記事に中川のパフォーマンスの様子は詳細に書かれています。

とびきりの笑顔で登場した中川は、振りをしながら「君という仮説」を歌いはじめますが、ひと言歌ったあと、2番の歌詞だったことに気づき、頭が真っ白になってしまったのかまったく歌えなくなってしまいます。1番の途中から、ボロボロの状態で歌い始め、笑顔を取り戻し、サビ前の間奏では事前にしっかり考えてきたであろうあおりのセリフを言い、後半はしっかりと歌いきります。
「ありがとうございました」と述べたあと、お客さんに笑顔を見せようとがんばりますが、耐えきれず右手で口を押さえポロポロと涙を流し、語り始めます。

「1年間研修生やってて、一番杉浦先生(歌の先生である杉浦良美先生)と練習した曲で、1年間ずっと練習してて、やっと発表できるってなったのに、みんなの前に出たら、まだアイドルになって1か月くらいしか経ってないから、知らない人とあんまり、目を合わせるのが苦手で、握手会とかでも緊張して。アイドル向いてないなって思って…」
「わたしは1年間も練習してきたのに。みんなはすぐ決めて練習したとか言ってて、わたしは1年間もやってたのに…」
「1年前から練習してて、歌詞がすごく良くて、君という仮説って言ってて、君という世界を見せてよって言ってて、わたしの世界を見せれるのかな? って思ってたら、こんな世界でした…」

と、この1年、そしてアイドルとしてデビューしてから1か月ほどの間に心の中を吐露しました。

さきほどのインタビューでも語っていましたが、2期メンバーでは自分がしっかりしなければということで、ここまで中川は優等生的な部分ばかりを表に出していたのではないでしょうか? 佐々木がどちらかというと問題児?な分、優等生のちーことしてがんばっていたのです。彼女が優等生であるのは間違いないですし、頭の回転も速く、トークもある程度こなせていました。

ですがこの日のステージのあとから、中川は変わったように感じます。

優等生であるばかりがアイドルではないですし、人間としての本音の部分や、純粋な想いを見せるのもアイドルだ…ということを、感じたのではないでしょうか?
実際、この日のイベント後の特典会では、中川のチェキ列が伸びていたのを覚えているファンも多いでしょう。この日で中川の内面を知れて、注目し始めたというファンも多いはずです。

以降、パフォーマンスに関しても徐々にレベルアップしていき、優等生な面ばかりでなく、自分で「実はブラック」と言う内面、マニアックな面も徐々に出していくようになります。

メンバーの卒業、新メンバーオーディションというグループとしての転換期も迎え、中川のブログも徐々に変わり始めました。それまではイベントなどのレポートと鍛治島彩の写真いじりがメインだったのですが、自らの想いも書いていくようになります。

同期である佐々木への想いを綴ったこのブログは、2人の関係性がわかる、とてもよい内容になっています。

1つ年下である佐々木のことを優しい目で見つめ、アイドルとしては先輩として敬い、同期としてはライバルでもあり、共に成長していく唯一無二の同志でもある。2期メンバー2人の今後には、期待しかありません。

中川のブログの内容が圧倒的に変わり始めたのは、アプガ(2)が当時目標として掲げていたマイナビBLITZ赤坂での公演「アップアップガールズ(2) #アプガ2セカンド #スターティングオーバー 」のあとからのように思います。

赤坂BLITZ直後のブログでは、その想いをしっかり記していて、そのあとからはブログでだんだんその内面を吐露していき、現在のファンからはポエムとも呼ばれているブログに繋がる文体も確立していきます。

そして、このブログでも書かれている、ソロコーナーでの「君という仮説」で「アップアップガールズ(2)&(プロレス)メンバー対抗実力診断テスト」の雪辱も果たしました。

それに加えて、いまではファンに知られている派手過ぎる私服も、この時期から徐々に披露していきます。
2019年2月からスタートしたYouTubeチャンネル「にきチャン!」でも、独自企画を打ち出し、独特な感性を打ち出しています。

2020年4月には高校に進学、ブログ以外のSNSも解禁となり、自粛期間も重なり、Twitter、SHOWROOM、Instagramを使いこなし(昨日TikTokも開設しました。)、その恐ろしくも独特な、女子高生らしくもある感性がさらに爆発していきます!
その極めつけとも言えるのが、こちらの自ら構成監督出演などすべてをこなしたこちらの作品です。

中川がファンでリスペクトしているというkemioくんのMVをカバーし、出来る限り映像で再現したもので、その想いの強さと行動力には恐ろしいと言えるほどに凄まじいものがあります。

最近も「にきチャン!」でも「中川千尋探検隊シリーズ」が非常に人気を得ていますし、

Instagramで、その独特な派手な私服 #ちーこーで を公開したり、

ニューシングルのクラウドファンディングの目標、500万円にあわせた500チャレンジをひとりでやったり、


SHOWROOMでのサムギョプサル大会や、チーズフォンデュパーティの生配信も、中川以外には出来ない独自の配信になっています。
中川のオリジナリティあふれるSNSは、本当に水を得た魚、いや角を得たユニコーンのように研ぎ澄まされていっています。

「この世で最も美しい、最も誇り高い、最も恐ろしい、最も優しい動物」とフランスの文学者ヴォルテールは、『バビロンの女王』の中でユニコーンを表現したといいます。

ユニコーンは中川が最も敬愛するものであり、アクセサリーやグッズなどを収集しているのはファンのみなさんはご存じの通り。

この原稿を書き進むにつれ、中川千尋こそが、まさにユニコーンなのではないかという考えに至りました。

中川千尋として、アイドルとして、いつも美しく純粋で誇り高くあり、ファンが思いもよらぬことをSNSで発信する底の知れない恐ろしさもあり、メンバーたちを優しく見守り、ファンに優しい目線を送る…まさにユニコーンそのものなのではないでしょうか?

幼い頃から可愛らしかった静岡の少女がアプガに出会い、憧れ、アプガになり、ちょっとずつその独自な感性を発揮し、唯一無二のアイドルになっていく世界…これもまた奇跡であり、偶然であり、必然であったのかも…。

アイドル界のユニコーンとして、これからも美しく誇り高く、独自の道を突っ走っていくであろう中川の姿を、われわれは見守っていくほかありません。

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アプガ(2)のメンバー1人に焦点をあて、魅力を紹介していくこの連載、次回はいよいよ最終回、まさにアプガ魂を体現しているあのメンバーです!

文:岩岡としえ 


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