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コケ活動@赤目四十八滝

このままではいけないと思ったのです。
コロナが始まって2年、どこまで自粛すればいいのか分からない毎日、あまつさえ戦争まで始まってしまい、自分たちが正しく行動するとはどういうことなのか、行き詰まっていました。輸出入の制限に伴う物資の不足や商品の高騰なども影響して、わたしたちの毎日は日々狭くなっていくように思います。

なので、行けなければならない。赤目へ、美しいコケの最高のタイミングである3月〜4月に。年度末で忙しくても関係ない、後先なんて考えない。
これまでコケ友たちと2回ほど行って、いずれも素晴らしい体験でした。それを一人でどこまで味わうことができるか、これまでの記憶や自分一人の知識が試される場でもあります。

ふつう、コケは2月から5月くらいに蒴を伸ばすことが多く、今の時期は一番の見頃。なかでもわたしが追いかけている苔類は、蒴の期間が短くて2週間程度で終わってしまう。前年の気候も影響するので、ベストなタイミングに出会えるかどうかは運次第。
現地へ降り立つと、出迎えてくれたのはジャゴケとクモノスゴケの蒴祭り。蛇と蜘蛛が色めき立っています。

むはー、最高すぎる。
そして工事によって失われたと聞いていたコマチゴケも発見。まだ小さい群落でしたが、がんばって生き延びてほしいものです。

これはたぶんヒメウルシゴケ。前に複数人で行ったときに初めて認識できた種なので、当時のことを思いだして懐かしくなったりする。
コケの観察って、もちろんコケそのものを見て学ぶことも大事ですが、誰かと一緒に見に行った時の思い出もすごくいいものです。わざわざ重い図鑑を持ち運んだりしたっけ。

切れ込みの入った腹葉、丸い粒状の腹片

いよいよ、目当てのムクムクゴケスポット。東京から4時間と数万円かけて、このために来たのです。「シーロカウレ」が見つかるまで帰れません。
しかし、滝の周囲には全然見つからない。場所を変えて坂道の横に生えているものを1つ1つ確認するけど、やっぱり見つからない。写真では何度も見ているけど、実物はまた別。本当に葉の上に生えるよね、とか心配になって図鑑を改めたりする。
群落の最後の方になってようやく発見! これがあのシーロカウレと感慨に浸る。

花被は痕跡的で、多肉円筒形のシーロカウレが茎頂に発達し、表面に長毛が密生する。

『日本の野生植物 コケ』(平凡社)P.233
激マブ
シーロカウレ
もふもふ

最高だ。最高すぎる。
叫びたくなるのをじっとこらえて、先へ進みます。階段が増えて足腰にきますが、この先にどんなコケが待っているか考えるといくらでも進める。

タマゴケはもうちょっと
天に向かって伸びるアナナシツノゴケ
日光の奪い合い
胞子を食べてるのかも?
薔薇の花束みたいなチャボヒシャクゴケ
謎の蒴。フライにするとおいしそう

久しぶりに心の底から楽しかったって言える体験でした。

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