子どもの安心・安全

コロナ禍における子どもの暮らしの安全・安心 清水由貴 公正世界信念とは、「人々が受けるに値するものを受けている世界」を指し、公正世界信念とは、我々が公正世界に生きているという信念のことを意味します。このような信念を持っている人は「世界は公平であり、人はそれぞれに見合った賞罰を受ける」「努力すればむくわれる世界だ」「良いことをした人には良いことが起こり、悪いことをした人には悪いことが起こる」と考える傾向があります。このような公正世界信念に基づく考え方は、現在のコロナ禍でも見られています。感染した人に対し「何らかの落ち度がある」として責める傾向はコロナウイルス感染拡大の当初から見られました。そして実は、そのような態度は日本では他国よりも強く見ら一れることが、最新の調査により明らかになっています。「新型コロナウイルスに感染する人は、自業自得だと思う」という質問に対して「そう思う」という肯定的な回答をする傾向は、五ヶ国の中で日本が一番強いという結果が示されました。大人が感染者へのこのような態度を示すことは、子どもがもともと持っている「悪い人には悪いことが起こる」という考えを強化することにつながります。、大人が自身の不安などの状態を自覚しケアする、また感染者に対して公正世界信念に基づいた(偏った)考え方をしている可能性に気づく、といったように、自身についての客観的な目を持つことも大事です。言葉に出さずとも、大人の様子や非言語的ふるまいを子どもはじっと見て、それに大きく影響されるからです。そして何より、子ども自身が不安や心配に思った時はいつでも、それを話すことができる場があるのだ、と保証してあげることが、コロナ禍の子どもの暮らしの安全·安心にとって最も重要であると言えるでしょう。

画像1

日本心理学会 「お子さんとコロナウイルスについて話しましょう」https://psych.or.jp/special/covid19/talking+to+children/

藤田医科大学 微生物学講座・感染症科【2021年度版】コロナウイルスってなんだろう?http://www.fujita-hu.ac.jp/~microb/Final_version.pdf

教育と医学 2021年3・4月号「子どもの安心・安全を支える」より



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?