誉めることの持つ意味

誉めることの持つ意味 篠山大明

自主的に継続するためには、勉強の必要性や面白さを理解することによって得られる本人のモチベーションが必要です。誉められたときの方が、誉められた喜びと同時に達成感を覚えやすく、本人のモチベーションにつながりやすいのかもしれません。しかし、自閉スペクトラム症がありこだわりが強い人の場合は、不適切な褒め方が、謝った目標設定につながりやすいように思えます。C君自身の喜びを私が共有するような褒め方でした。目論見のない称賛が、あのまんざらでもない表情につながったのかもしれません。こだわるべきでないところを強調するような褒め方はしない。結果にこだわり過ぎると、大きな負担がかかり、かえって頑張るべきところを頑張れなくなってしまうこともあります。結果ではなく、過程や努力を褒めることが大切であると言われるのはこのような理由からです。褒め方を気をつけないと不適切なこだわりにつながる危険があるのです。子ども自身の達成感に共感するような褒め方こそが、子どもの健全な成長につながる褒め方であるように思えます。だからといって、うかつに褒めないほうがよいのではと神経質になる必要はありません。重要なのは、褒める側が何が大切であるかを正しく理解」し、それを子どもに正しく伝えようという思いを持つことです。いい結果が出なくても自分が認められているとわかっている子どもや、やりがいがあるものを持っている子どもであれば、少し結果を褒められたくらいで目的を見失うことはありません。よい結果が得られることはもちろん本人にとっても嬉しいことなので、その達成感に共感する声がけはしてあげてかまいません。大人の思い通りになることではなく、本人がやりたいことをできることや自分らしく生きていけることを一緒に喜ぶ要め方であれば、子どもの良さを引き出すことにつながるのではないでしょうか。

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教育と医学 2021年1・2月号「新しい生活様式における子どもの学びと育ち」より

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