嗚呼、哀しみのエリマキトカゲ

僕は、むかし脳卒中を患った事が有る。その後遺症が、生活に様々な支障をきたしている。手足が不自由だし、嚥下も、うまく出来ていないようで、食事の後の卓上や衣服や床に気付くと「食べこぼし」が着き、散らかっている事が、よく有る。その為、お箸も「介護用品」の物を使っている。

 僕が、生きる上で大切にしたい事の一つに「食への感謝」が有るから「食べこぼし」なんて、もっての他だ。みっともない上に、食への冒涜だ。
そんな行儀悪い、振る舞いを改善する為、僕は食事を採る前「いただきます」と言うのと、同時に、想像上のエリマキを首に巻き付ける。という想像上の儀式を行う。首に逆向の傘のようなエリマキを付け「食べこぼし」を防ぐイメージを心に刻み、丁寧にゆっくり食べる事に留意し、注意深く食事をする。

食事の度にそんな奇天烈な心掛けを意識していると、当然、一つの疑問が沸く「エリマキトカゲのエリマキって何の為に有るの?」
僕みたいに食べこぼしを防ぐの?
あるいは逆に、食べこぼした昆虫(餌)の羽根や足等がエリについたら、付けたままにしておき、空腹時の備蓄にする?

調べてみると、トラブルの際にエリマキを広げ、体を大きく見せ敵を威嚇したり、また、気温が高い時、広げたエリマキが風を集め、体温を下げるらしいです。←すげー機能的で頭良い!レスペクト!生き物として人間より、優れているのでは?

昔テレビCMで脚光を集め、有名になった彼らを、ペットとして飼育する事が流行したが、今は彼等の事も、また「飼う人」の話題も聞かないから、自分達より、優れた者を飼い慣らそうとする愚かさに、みんな気付いたのだろうか?

もともと熱帯地に生息する彼等をブームで買い付け、飽きて、空き地にポイッと捨てられた個体も居ただろう。最近よく公園や雑木林や、ため池で外来種の○○が発見された!なんて報道よく見ますよね。
 寒い異国の冬を越せず絶命した者も居ただろう。と思うと、つくづく俺達、人間は、生き物として下劣で傲慢で、最低です。

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