音楽キュレーターについて考えてみた
「音楽をたくさんの人に届ける」
一世代前で言えば、ラジオのDJのような存在が思い浮かぶ。
それが今では、誰でもが音楽をたくさんの人に届けられる時代になった。
音楽の聞き方が変化すると共に、音楽の届け方も変化してきた。
今回は、そんな変化の中で最近注目を浴びている、音楽キュレーターについてを考えてみたい。
これまでも、レコード会社が、CDをラジオ局に持参し、有名なラジオ番組で曲をかけてもらう。例えば、ラジオでのPOWER PUSHを獲得できれば、または、"このラジオDJがオススメしているのだから間違いない!"といったお墨付きがもらえれば、世の中へ広く認知してもらえる。
今もなおラジオの力は健在に思えるが、一方で頭角を現してきているその代表例ともいえるのが、音楽キュレーターの存在だ。その背景には、大きく二つの時代の流れがある。
①インターネットの普及
②音楽ストリーミングサービスの台頭
インターネットが普及し、あらゆる情報がWEB上で行き来する世界になった。そうなると、無数の情報がWEB上に散らばってしまい、今までよりもターゲットにきちんと届けるのが難しくなった。
その中で、キュレーションと呼ばれる存在が生まれた。情報の収集や編集を特定のテーマに沿って行い、そこに新たな価値を生み出し、ターゲットにきちんと届ける役割を担う。
インターネットの普及と共に、音楽の聞き方も変化してきた。その流れの中で最近台頭してきているのが、音楽ストリーミングサービスだ。
海外では、SpotifyやApple Music、国内では、AWAやLINE MUSICなどが挙げられる。
そして、音楽ストリーミングサービスの大きな特徴のひとつが、プレイリストと呼ばれるものだ。
ユーザー側が作るもの、運営側が作るもの、サービスのよって様々だが、このプレイリストと呼ばれるものが、これからの音楽の聞き方の選択肢の中で大きな存在となっていくことであろう。
そんなプレイリストの存在は、音楽の届け方をも変えてきている。プレイリストによって、特定のテーマに沿った音楽の届け方が可能になったのだ。 例えば、ドライブに合う曲を集めたプレイリストやお花見で聞きたい曲を集めたプレイリストなど。
すなわち、無数にある音楽を特定のテーマに沿って収集し、そのテーマがそれらの音楽に新しい価値を生み出し、世の中に届けることが可能になった。そして、そのプレイリストを誰でもが作れるようになったのだ。
このように、誰でも音楽を届けられる、誰でもが音楽キュレーターになれる時代の中で、音楽の届け方はこれまでより幅が広がった。もちろん、アーティストの音楽コンセプトは曲ひとつひとつに込められているし、アルバムという存在はなくならない。
ただ、新しい音楽の届け方が、これまで業界の中(ラジオやテレビ含めた)だったものが、より多くの人が参画できるようになったことは間違いない。