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架空のカードゲームのカード紹介 第10回

 架空のカードゲームのカードを紹介するというお遊び企画、節目の10回目です。
 企画の詳しい説明については↓を参照。

 今回紹介するカードはこちら。

狂気の歯車

カード名:狂気の歯車(きょうきのはぐるま)
コスト:③
カードタイプ:アーティファクト
種族:
属性:闇
攻防:
能力:各プレイヤーのターン開始時、そのプレイヤーは自分のデッキの一番上のカードを2枚墓地に置く。狂気の歯車が戦場に2枚以上存在する場合、追加で戦場にある狂気の歯車の総数から1を引いた枚数のカードを墓地に置く。
フレーバーテキスト:ひとりならぬ魔術師が、歯車の無慈悲な回転音によって狂気に追いやられた。
収録セット:基本セット
解説:自分と対戦相手のデッキを破壊するアーティファクト。1枚だけではゲームに大きな影響を与えないが、歯車が2枚になると墓地に落ちるカードは6枚(それぞれの歯車の効果で2枚+1枚の3枚ずつ落ちる)、3枚で12枚、4枚で20枚と加速度的に墓地に落ちる枚数が増えていく、まさに狂気のカードである。デッキ破壊の手段をこのカードのみに頼っていると自分がデッキ切れで負ける可能性がある(特に【狂気の歯車】を引くためにドローカード等を使用している場合は危険)ため、他のデッキ破壊手段と併用する、適度なところで自分の【狂気の歯車】を破壊する手段を用意する、自分のデッキの枚数を増やすなど何らかの対策を用意したい。

 この【狂気の歯車】というカードはこの架空のカードゲームの中でもかなり早くできたカードで、思い入れのある1枚です。人の頭の中の設定を語られても困惑されるかと思いますが、しかしここは私のnoteなので、少し語らせてもらいます。

 自分がトレーディングカードゲームに初めて触れたのは週刊少年ジャンプで連載されていた「遊戯王」の原作漫画なのですが、その中でも特に忘れられないシーンがあって、端的にいうと主人公がバトルで(といってもカードゲームですが)圧倒的不利な状況に陥ってしまい、そこから逆転するというシンプルなものなのですがその方法が当時の私にとってはハチャメチャに痺れるものだったのです。
 状況を詳しく説明すると(もう原作遊戯王が発表されてからかなりの年月が経っているのでネタバレ全開でいきますが、もし気にされる方がいらっしょいましたら適度に読み飛ばしてください)、相手の場には「手札の数だけ攻撃力を増すモンスター(特別なカードで作中では『神』と呼ばれる)『オシリスの天空竜』」「戦闘で破壊されるとノーコストで再生するちょっと何言ってるかわからないモンスター『リバイバルスライム』」「自軍へのモンスターの攻撃をスライムモンスターが代わりに受けてくれる『ディフェンド・スライム』」「戦場のモンスターが再するとカードを引ける『生還の宝札』」「手札の枚数制限をなくす『無限の手札』」という5枚のカードがあり、こちらが攻撃する→スライムが受ける→スライムが破壊されると再生→再生するとカードを引く→オシリスの天空竜が無限に強くなるという圧倒的有利な盤面を作る事に成功します。
 MTGだと全体除去系の呪文もあるのでこちらのデッキ次第で何とかなるかもしれませんが、少なくとも主人公、遊戯のデッキにはそんなカードは入っていないようで一度は絶望しかけます。

 しかし、そこからライバルに叱咤(の中に秘められた助言を)され、遊戯の逆転が始まります。
 細部は省きますが、遊戯は手持ちのカードで相手にカードを強制的に引かせ続ける状況を作る事に成功します。当然オシリスの天空竜の攻撃力は上がり続けますが、それは些細な問題でした。なぜなら…

 このゲームには、「山札からカードを引けなくなった者はゲームを続けることができない=負けが決定する」というルールがあったのです。

 「無限ループによって手札が無限に増えていき…そして神も無限に攻撃力を上げていく…」

 既に遊戯のライフを一撃で吹き飛ばせるにも関わらずその一撃を撃てず、さらに虚しく攻撃力を上げていく様を見守ることしかできない対戦相手に対し、遊戯はこう語りかけるのであった。

 「違うな…神の力は無限じゃない……山札の枚数という限界があったのさ!


 …うおお、

 スゴイぞーカッコいいぞー!!

 圧倒的な力を持つ対戦相手のモンスターを更なる力で倒すのではなく、まったく予想外の方法で逆転!
 武道大会とインフレはジャンプの華よといってもいいくらいパワーのインフレ展開が多い印象のあったジャンプ漫画で育ってきた自分にとって、この勝ち方は何十年経っても記憶に刻まれるほどクールでカッコいい勝ち方だったのです。
 そして、それを実現した「力で押し勝つ」以外の勝ち方もあるトレーディングカードゲームの奥深さにも魅了されたのです。

 ということで、自分がカードゲームを作る時は絶対にライブラリーアウトを勝利手段にできるデッキを作れるようなカードを出そう、と思っていたのでした。

 ちなみにAI画伯には「空中に歯車が浮いていて、その下で中西風の服装の男が苦悶の表情を浮かべている」というイメージで発注をかけたのですが、画伯がお出ししてきたのは水車小屋の水車みたいなクソデカ歯車をバックにゾンビみたいな顔をしてる西部劇っぽい格好の男の絵でした。しかしこれはこれで滲み出る狂気感に独特の味があったので採用となりました。こういうのは自分で絵を描いたり他の人に描いてもらったりだとなかなか起きない出来事だと思うので面白かったです。

 もう一つ余談ですが、カードのフレーバーテキストはMTGの中でも有名なライブラリーアウトに関するカードのオマージュです。MTGのフレーバーテキストは偉大です。
 

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