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ボードゲーム作った

大学時代の先輩2人とボードゲームを作りました。「ねこカフェ カサネコ」というタイトルで、5月27日(土)に発売されます。

大きく出ましたが、正確には僕たちがカサネコを作ったわけではありません。僕たちが作ったのは「STARTO!」というボードゲームです。
「STRATO!」を元に色々な改良が重ねられて、「ねこカフェ カサネコ」が生まれました。かなり喜ばしい出来事だったので経緯を書いていこうと思います。

「ねこカフェ カサネコ」

STRATO!を作った経緯

そもそものきっかけは、大学の先輩と「ボードゲーム作りたいね」という話になったことでした。その後すぐにゲームマーケットに出展することが決まって、「どういうルールのゲームを作るか」という話し合いを週1ぐらいのペースでしていました。

・ルールやデザインの試行錯誤

3人でzoomをしてルールの案を持ち寄るのですが、「面白そうだけど、うーん…」みたいな状態が続きました。今思えば、「どういうゲームを作るか」が明確じゃなかったのが原因だったと思います。

その後、会議を重ねるうちに、「必要なコンポーネントを《カード36枚のみ》に絞って考えた方がいい」ということになりました。
理由は、①制限がある方がルールのアイデアが浮かびやすい  ②デザインが必要な部分を最小限にした方がいい(デザインができる人が1人もいないから)の2つです。

特に①の理由が大きくて、ボドゲ制作以外でも大事な考え方だなと思っています。美大生に「自由に絵を描いて」って課題を出すより、「コンビニの絵を描いて」って課題を出す方が個性が出やすいみたいな話を思い出しました。

②の理由はチームのウィークポイントにかなり直結しています。僕たちは3人のチームですが、「デザイン」が得意な人が1人もいません。「ボードゲームが好き」という熱だけで集まったので仕方がありません。
しかし、これも悪いことばかりではなくて、「全員デザインができないから、カードのデザインは単純な図形の組み合わせにしよう」という新しい方針が決まりました。

方針が決まったら、あとはボードゲーム制作に大事なのは「コンセプト」です。つまり「どういうゲームか」ということで、漫才やコントでいう「設定」みたいなものです。

何回かの案出しを経て、コンセプトは「図形の重なり順を見抜く」ということに決定しました。これは「パワポで資料を作るときに、最前面にあるテキストボックスがどれかわからない」というあるあるから着想を得ました。

コンセプトが決まった後は、細かいルール設計もどんどん決まっていきました。このフェーズで苦労しなかったのは、3人ともいろんなボードゲームをやっているので、「ルールの蓄積」があったからだと思います。それを経てできたのが「STRATO!」というゲームです。

「STRATO!」のルール説明

・ゲームマーケット2021秋に出展

STRATO!が完成して、ゲームマーケット2021秋当日を迎えました。当日はちょっとした事件(梱包作業中に僕がテンパってしまう等)もありましたが、製作した50個は全て売り切れました。何より、ブースでテストプレイをしてくれた方々に「おもしろい!」と言っていただけて嬉しかったです。

その中でもボードゲームメーカーのスタジオムンディ様から「STRATO!のルールを元にして、別のゲームを作りたい」というお話をいただきました。初の出展だったので当時は事の大きさがかわかっていませんでしたが、めちゃくちゃにありがたいことです。

声をかけていただいた理由としてはスタジオムンディ様は「世界で販売できるボードゲームを作りたい」という思いがあって、「STRATO!」のルールがそれに近かったからということでした。
「ルールがシンプル」「言語に依存せずにプレイできる」という点がよかったみたいです。単にデザイン力がなくてシンプルなカードしか作れなかっただけなのですが、どうやら僕たちは無自覚にノンバーバルなゲームを作っていたみたいです。

そうしてSTRATO!をもとに、スタジオムンディ様に作っていただいたゲームが「ねこカフェ カサネコ」です。

「ねこカフェ カサネコ(左)」と「STRATO!(右)」

無機質な図形しか描かれてなかったカードが、カラフルなネコちゃんがたくさんいるカードになって、一気に親しみやすいゲームになりました。

カサネコとSTRATO!の違い

STRATO!とカサネコは違う点がたくさんあって、どれも感心するものばかりです。違う点を書いていこうと思います。

・デザインが可愛いしわかりやすい

まず一目瞭然ですが、見た目が全然違います。「デザインのパワー」を痛感しました。ネコが描かれているだけで場が和むし、やりたいと思わせる力があります。
僕には9歳の姪っ子と7歳の甥っ子がいますが、STRATO!はやらなくてもカサネコなら一緒にやってくれそうです。

そして、「子どもでも親しみやすい」のは単純に「ネコがかわいいから」というだけではありません。「形の認識のしやすさ」と言う点で、幾何学図形よりネコの方が圧倒的に優れています。

STRATO!のルールではどれも「同じ図形」

STRATO!のルールでは上の図のA、B、Cはどれも「三角形」ということで「同じ図形」としています。しかし、小さい子どもにとってこのA、B、Cの全部を「同じ図形」と認識するのはおそらく難しいはずです。(STRATO!を作っているときは気が付きませんでした)

一方でカサネコでは「同じ図形」ではなくて「同じすがたのネコ」を探すルールなので子どもでもわかりやすいです。

「カサネコ」の取り札のカード

ボドゲに慣れてしまった大人はこのカードを「三角形」と認識するかもしれませんが…、子どもにとっては「ネコのエリザベスちゃん」を探せばいいわけなので、図形の概念に慣れていなくてもゲームを楽しめます。

・下からの順番を見抜くルールの追加

STRATO!もカサネコも「重なっている順番を見抜く」というコンセプトは変わりませんが、カサネコには「下からの順番を見抜く」というルールが増えています。シンプルなルールの追加ですが、チームの3人で議論しているときは全く出なかったアイデアでした。

STRATO!の完成間近で「もうちょっとルールを難しくした方がいいのでは」という話になったことはありましたが、そのときに出た案は「『解なし』のパターンを追加する」「図形の種類を増やす」などだったと思います。結局「複雑になりすぎる」という理由でこれらは無しになりました。「下から探すパターン」思いつきたかったです。

・勝利条件の変更

STRATO!の勝利条件は「山札が最後の1枚になった時点で、一番多くカードを取った人が勝ち」というものでした。これがカサネコでは「一番早く、カードを5枚取った人が勝ち」に変わっています。

たしかに、STRATO!のルールだと途中で誰かが独走状態になるなど、プレイヤーの誰かが楽しめなくなる可能性があります。カサネコの勝利条件なら、常に逆転の可能性が残っているし、もし誰かが独走状態になってもすぐ次のゲームに移れます。

こういう大小様々な改良をしていただいて、STRATO!がもっといいゲームになりました。ぜひ購入してプレイして欲しいです。

最後に

率直な気持ちとしては、「大学の先輩との「ボードゲーム作りたいね」で始まって作ったゲームが、製品として発売されることになってめちゃ嬉しい」です。「ゲームのルールやコンセプトを考えるのは好きだけど、デザイン力が圧倒的に不足している」というチームの弱みを、スタジオムンディ様に豪快に救っていただいた感があります。

今は「ボードゲームにまつわる何かをしたい」と漠然と思っていて、「何か」が定まっていない状態です。新しくボードゲームを作るのか、ルールの案だけでも考えるか、ボードゲーム業界が盛り上がるようなイベントを考えるか…、こうしたらいいんじゃないってヒントがあったらどなたか連絡をください。

📨:kazusa2353@gmail.com
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