にせものの日

胃がもたれたのか膀胱炎ぎみなのか消退出血で体がダメージを受けているのか知らないが体調が悪く、考えからにょいーーーーんと→が伸びて、「今すぐ死んだ方がいい」という懐かしい回路がたどりついた。
あまり辿らないようにしていたので回路はもう死んだものかと思っていたが、別の考えへ行かせないようにするためか、よくわからないが、安易なハリボテの天国への立て看板がポンとたってしまう。

そういう日はまぁメソメソ泣いたり適切な薬の服用をしたりして寝るしかない。

しかしなぜそんな矢印が伸びているのかと思うと、人生を悲観して、悲観し飽きて、めんどくさくなって、というのは、ほんの数%で、もっと何かを抑圧したせいでそんな訳の分からない回路の溝を掘っているのだろうか?

親が憎い?家庭が憎い?兄が憎い?運がもう少し欲しかった?怒りを受け止められなくて悔しかった?自分を許せない自分が許せない?姿勢を正せない自分が嫌い?キッチンが片付いてなくてムカつく?いますぐ勉強すべきなのにしないから自己嫌悪?怖い?価値がないねって言われるのが嫌だ?金が稼げなくて嫌だ?さみしくて人と話したいのに、話したら相手を喜ばせることができなさそうな精神状態であることに恐怖を感じる?辛いけど、つらいと言ったら相手を心配させそうで嫌だ?何もかも嫌だ?もっと別の人が生まれればよかったのに?

でも生まれちゃったんだね、私が。

ぼんやりとした絶望を感じているこどもの自分がいる気がする。親は私を笑っている、私は頑張っているのにこどもで、努力も数秒しか見てもらえなくて、順番待ちしてるの。そう。子供の頃の記憶とかある?セラピーやらカウンセリングを受けたい。そうだね。受けたいね。
新しい環境へ行ったりなんだりして、またバカにされるのが怖い。小学生のころ馬鹿にされた。うまく喋れないから。そう。
そうなんだ。

空き教室でぼんやりと自分と喋ってる。過去の私は私の姿が大人だから憎んでいる。大人は助けてくれないから。絶対口を出しても、自分の人生に苦しみが入るほど腕を突っ込んではくれないから。そうだね、そうだよね。
大人は嫌いなんだって。

読みかけの本が無能の証みたいで嫌い。お母さんがお父さんの片付かない部屋や持ち物にいつも文句を言っていた。お母さんが私の教科書を片づけたけど、私の物を置く場所ってそもそも置きやすいところになかった。教科書が度々家のなかで無くなった。教科書、重いんだもん。つまんないよねぇ。授業とかさぁ。
頭がぼんやりする。そろそろ体温計を買った方がいい気がしてて、でもなんか嫌で買ってない。婦人用体温計を前買ったけど、たぶん実家におきっぱなし。
実家に置いてある自分の物とか、もう全部燃やしちゃいたいよねぇ。大学を出た証明書とかそういうのは一応とっとくにしてもさぁ。
いい加減な話をする。愚痴を言う。実現できそうもない話をする。別に会社員じゃないときはそういうことを言ってもいいんだよ。
全部ぶっころしてやりたいよな、と言っても、もう殺意なんか無かったりする。

あーあ、つまんないよねぇ。
冷たい机にほっぺたを引っ付けて、にやにやと私は笑った。
若い私は不気味そうに私を見る。自分以外のものが何を考えているのか分からなくて嫌いだった私は、私のこともやっぱり嫌いだ。

絶対に未来から来てあなたは素敵なあなたになってるよだなんて、絶対に絶対に言ってやんねぇ。クソ生意気なガキが、全部ぶっつぶしてやりたいんだよな、分かるよってげらげら笑ってタバコ吸って酒飲みながら教科書を燃やしたい。高文連で道徳の教科書みたいに載ってそうな話が一番の賞をとってて嫌いだった。全部憎んでたしカスだと思っていた。死ね、と思っていた。あの頃の殺意はホルモンバランスから来ていたのかは分からないけれど、あんなに祈るように強く純粋な殺意はなかなかもう持てない。

私が悪いような気がして。

チャイムが鳴る。半分夢に入っているような気分で文章を打つのは久しぶりだ。小説をたくさん読んだからかもしれないね。

またね、と私はいう。私の頭は撫でない。あの頃の私は他人に頭を触られたら死ねと思っていそうだから。でも本当は人に懐きたかった。だれかの特別でいたかった。懐かしいね。懐かしい。涙が出そうだ。

学生の頃の自分はきっと今の私より目が合わないから、私の顔を見てないから、きっと私が誰なのか、分かんないよ。

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