イスラエル博物館展で出会ったレッサー・ユリィ作品
三菱一号館美術館のイスラエル博物館展に行ってきた。
レッサー・ユリィと出会って
今回来ていたレッサー・ユリィの作品は全4点。
4点とも思わず足を止め、これは誰の作品だろうとパネルを確認したらすべてレッサー・ユリィの作品だった。
彼の作品には、目を惹くものがある。
それは色味が鮮やかであるとか、そういうこととは違う。
その画面を見たとき、そこにある時間や空気がとても自然にふっと浮かび上がるようで、目が奪われる。
とくに好きだと感じたのは、彼の描く雑踏。
人々が行き交い、うっすらと煙ったような寒空。
夜闇に明るく灯る、街路のあかりの揺らぎ。
都会の在りようが目の前に広がってくるようで、ずっと眺めていても飽きない。
《冬のベルリン》
コートに身を包んだ人々が街路を行き交う。
空を覆う雲や地面に落ちる影が全体に茶色がかっていて、くすんだような印象を与え、薄曇りの空は、その寒さまでこちらに伝わってくるかのよう。
その乾いた空気を肌で感じられそうな気さえする。
《夜のポツダム広場》
闇の中、雨に濡れた地面に映り込む光の煌々とした明るさ。
右手には黒っぽいコートに身を包んだ人々が、左手には対照的に建物のあかりが描き出されている。この反射が無造作に描かれているようでありながら、雨で靄がかかったような様子まで描き出している。
レッサー・ユリィの作品は今回はじめて見たけれど、どれも惹かれるもので、ひととおり一巡したあとでまたじっくり見ていた。
こうやって新たに好きな作品と出会えると、嬉しくなる。