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五月雨病

雨の音が好きだ。
天から使者が舞い降り、私を守ってくれる。 
包み込んでくれる。
頑張らなくてもいい日になる。

布団の中に潜って雨音を聴く。
道路や建物、植物にも使者は見回りにくる。
皆とぶつかり合っては共鳴する。
あちらこちらで奏でられたその音に耳を傾ける。
私とは関係ない世界。
でもこの世は、誰かの奏でる音でできている。
同じ人類として見過ごせない物語で溢れている。

そんな外界と壁で仕切り、
他人事のようにその音を受け入れ、
そのまま聴き流す。
私の存在を自覚させるのは、
紛れもなくあの雨音だ。

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