アンスリウム

  この道を歩くときにgooglemapがいらなくなった矢先の出来事だったから、あゝさみしくなるなあ、と思った。まだ熱のあるときに教えてもらった駅前から出発するバスにタイミングよく乗れた。降りるバス停の名前まで覚えていなかったから結局googlemapを開く。徒歩でもバスでも駅から家までの時間はたいして変わらなかった。

 バス停から家まで歩く。いつも朝しかいないはずの友達が外に出ていた。今日で会うの最後かもしれないね、いつもありがとうね。と伝え、いつもより多めに撫でた。偶然出ていただけかもしれないけど、わたしはそうは思わなかった。君がいてくれて救われたよ。

 新しい場所が欲しかったときに会えて、知らない場所に連れて行ってくれた。好きな場所もできた。嬉しい言葉も増えた。難しいことも言われたけど、私のこれからの課題になった。さみしさはあるけど辛くはなかったはずなのに、家から駅までの道、好きなベランダのあるマンションの前を通ったときに涙がでてきた。長くても短くても、日々を一緒に過ごした人との別れは辛いもんなんですね。思えば自分の感情ばかりでむかつくけど、いつも朝に淹れてくれるカフェラテが好きだった。

 あの部屋に小さな態度を残して帰れた自分をほめよう。この道を歩く時に、マフラーも手袋もつけなくていいくらいの温度になっていた。もうすぐ春がくるね。



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