uomi

日曜日がすこしでも長くなればいい。

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最近の記事

はたらく

 ずるずると長い期間就活中の身だったが、いよいよ本格的に動き出さなければ生きていけなくなるので、動き出してみたものの気が進まない。  新卒のころ、一度だけ正規で働いたことがある。雇用契約書と実際の労働条件が異なることに入社1日目に気づいてしまってから、絶望の二ヶ月間過ごした。朝5時半に起床、7時過ぎに家を出て、勤務先から遠すぎる更衣室で着替えを済ませ出勤。明るいけど重い空気の埃っぽい休憩室、壁を向いて食べる添加物味の弁当。食品を扱っているとは思えないバックヤードの風景。ラッ

    • さて。

      自分の脚だけでは難しい現実が東京にはたくさんあって、いまもそれに押しつぶされそうになりながら、洗濯物を干している。朝は洗濯機を回す余裕がないので、翌日晴れだとわかっている日には前の晩ベランダに出しておく。人と暮らし始めて数ヶ月、うっかり洗濯をさぼるとうんざりする。なるべく気分良く自分たちが出した洗濯物と付き合うために、なるべく毎日回すようにした。バスタオルとその他が絡まって塊になって出てくることがストレスだったけど、その頻度が減り、苛々しなくなった。 ていねいな暮らしとい

      • 狭いクローゼットにさみしい女が二人

        前日から一日中雨だということがわかっていたので、寝られるとこまで寝るぞと意気込んで眠りにつく。新しい司会者になった長寿番組、それが終わる頃におなかが空いてようやくベッドから出る。 茹でたブロッコリーがあるからパスタを作ってほしいと、まだベッドに横たわるひとに伝えたら、あそこに買い置きのパスタソースがあるのでそれを使ってください、と言われた。少しのオリーブオイルと一緒に小さいフライパンにあけて、温まったらブロッコリーを加える。オイルのソースの方が合うんじゃない?と言われたけど

        • この部屋で。

           少し泣いている、この部屋で過ごす最後の日曜日。そういえば、この家に何人来てくれたのかな、そんなことを思いながら日曜日を延長している。  強いこだわりはあるものの、それを全面に出すことは人を困らせてしまう場合があるし、自分の体力も奪うことになるからからやめておこう。負けず嫌いって良い結果が出ることがあらかじめ予想できる人が持てる性質で、わたしはそうじゃない、人の能力には限界がある。努力次第でという人もいるが、そんな簡単に努力とかいうな。この可愛げのない思考は生きてきた環境

        はたらく

          サッポロ一番

          ドラマ カルテットの第2話に感動した人はどれくらいいるだろう。わたしはこのドラマのクライマックスは2話だと思っている。 「まぁ、私もズルいし、別府くんもズルい。でも寒い朝、ベランダでサッポロ一番食べたら美味しかった。それが私と君のクライマックスでいいんじゃない?」 それまで恋愛のクライマックスは0か100しかないと思っていたから、当時この台詞について本当はよくわからなかった。なんかおしゃれな台詞で終わる曖昧な2人ってええな、と思っていただけだった。辛くなったら、かなしくな

          サッポロ一番

          呼吸

          この街に越してきて、4年が経とうとしている。 車に乗って東へ450km、行きはほとんど母が運転した。わたしの母はかなりタフなので長距離運転もこなれている。途中のサービスエリアで家族は温泉へ。わたしは疲れていると言って車内に残った。本当は目の前まで迫っている新しい生活への期待が膨らみすぎてハレツしそうで、温泉に入っている場合ではなかった。 わたしを半日かけて東京まで送り届けてくれた家族は、みんなすこし仮眠しただけで、あっさり西へ帰って行ってしまった。自分が娘を東京まで送り届

          八月某日

          最寄りから電車で1時間かかる西武線の駅へ用があって向かうことになった。 途中、乗り換えの駅でみかけたNB992を履いた男の人、気だるい雰囲気の、学生かな?なんだか気になるなと思いつつ、10秒後には姿が見えなくなり、2分後にはその存在を忘れていた。 20分後、目的の駅につく。20分前に見た男の人がわたしの数十メートル先を歩いている。そして、静かすぎる商店街の寿司屋にはいった。その並びには、もうずいぶんと昔に営業をやめてしまったシャトレーゼ、ビジネスホテルとお茶屋の兼業、ちっ

          八月某日

          瞬きの蓄積

          朝、瞼につけたはずのラメが頬にまで広がっていた。 いつか人につけてもらった睫毛は残り数本。 解けそうな三つ編みは編み直さなくていい。 これはぜんぶ時間の経過です。 ラメ、移動させるきっかけになりたいよね。

          瞬きの蓄積

          くちなし

           お花屋さんでくちなしの鉢植えをみかけた。むわっとした甘い香りを漂わせている白い花。それをくちなしだと教えてもらったのは上京して2度目の梅雨。そこから好きな花として名前を挙げるようになった。くちなしがあるベランダなんて良いよねと思ったけど、その甘い匂いはかなり虫を呼び寄せてしまうらしいので断念。虫とはなるべく戦いたくない。また今年もくちなし探しの散歩をする。  くちなしの香りを感じ、扇風機を出す。ドライヤーをするだけで汗をかくようになってきたらもう夏がそこまできている。夏は

          くちなし

          穏やかな振り返り

          年末に書いた日記。 健康的な1日だった。朝は早起きをしててきぱきと身支度をし、午前中の緩やかな労働のために家を出る。  昨日今日2日間、大学のときの先輩に誘ってもらって、商品制作のバイトをしにいく。久しぶりに。  緩やかな労働の後、クリスピークリームドーナツでココア飲んで待ってるねって連絡をする。彼の姿が見えた。ドーナツ食べる?と聞かれたら、一瞬でその口になった。各々好きなドーナツとホットコーヒーを注文する。  前から行こうと誘ってくれていた雑司が谷のギャラリーに向か

          穏やかな振り返り

          美味しくない料理

          私のルーツを。 あの鬱々とした10代を。 何者かになりたいわけではなく、ひたすらに此処を抜け出したいと毎日思っていたあの頃。 認められたくて、でもこの環境では共感すら得られそうにないという絶望感を。 妥協すること、人の顔色を伺うことが癖になっている自分のことが好きではなかった。なにをしている時の自分が好きかと聞かれて、声を詰まらせてしまう。

          美味しくない料理

          アンスリウム

            この道を歩くときにgooglemapがいらなくなった矢先の出来事だったから、あゝさみしくなるなあ、と思った。まだ熱のあるときに教えてもらった駅前から出発するバスにタイミングよく乗れた。降りるバス停の名前まで覚えていなかったから結局googlemapを開く。徒歩でもバスでも駅から家までの時間はたいして変わらなかった。  バス停から家まで歩く。いつも朝しかいないはずの友達が外に出ていた。今日で会うの最後かもしれないね、いつもありがとうね。と伝え、いつもより多めに撫でた。偶然

          アンスリウム

          300円のスウェット

           完全に体に染みついてしまっている。良さそうなお店の情報を送りつけること。すこーんと気持ちよく晴れた日に電車から富士山が見えるか確認すること。日曜日の男子ごはんの時間までにベッドから出てテレビの電源をつけること。わたしの生活の中でとても自然な行動だった。  未来のことなんてまだ全然わからないけど、美味しいものをたらふく食べたら帰りの電車で寝てしまう人の横顔をまた眺められることがあれば、そのときはもっと、愛について、わかっているはずだからさ。泣かないでね。  わたしがパジャ

          300円のスウェット

          イッタラのマグ

           もう既に日曜日を延長するための日記から離脱してしまっている。平日のぼんやりした午後を過ごしている。今日は仕事はお休み。半月前の自分を褒めたい。今日が休みでよかった。  半月前には思ってもみなかったことが起きている。感情の変化と、出会うひと、軽井沢に行くことは少し前から決まっていた。本当に会えてよかったよ。と言われて嬉しくない訳がない。わたしもあの時ユニクロの前まで引き返して良かった。その言葉をどこまで信じてくれているかわからないけど。いま私が選ぼうとしている道が正しいかど

          イッタラのマグ

          チオビタドリンク

           最近は知らない間に金曜日になっている。今日も朝起きてすぐは今日が何曜日かわからなかった。大して何もしていないのに毎日疲弊している。あ、いま近くの自販機で誰かが飲み物を買った音がした。数字が揃ったらもう一本もらえるタイプの自販機だから音がよく鳴る。網戸にして冷たい風を浴びながら、栄養ドリンクの中で1番信用しているチオビタドリンクを飲んでいる。今日も疲れた。明日も仕事だ。  電車の中が金曜日の空気だった。いいな、金曜日、恋人たちは手を繋いでどちらかの家に行くのだろう、髪の長い

          チオビタドリンク

          センキューパセリ

           ようやく、輝き出しそうな日々がやっと想像できたと思った。ここは退屈、迎えにきてって常に思っていた日常から、出ていくことができるかもしれないと。  結局、そんな受け身では何も始まらなくてわたしはその状況に甘えていただけだったし、簡単にそんなものを手に入れることなんてできるはずなかった。その時間を失うことが分かってからではもう何をしても手遅れだと、わたしは口に出して散々言ってきたのに、いざ自分がその状況になると、何も判断ができなくなって、1番やりたくないださいことをしてしまっ

          センキューパセリ