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日本国内で販売される自動車は、厳格な型式認可のプロセスを経る必要があります。
このプロセスは、車両が国内の安全基準や環境基準を満たしていることを保証するためのものです。
まず、ダイハツが行った不正の内容について説明します。
ダイハツは、2023年末に、型式指定に関する64車種の認証試験で、不正があったと発表しました。
型式指定とは、自動車の安全性能や環境性能が法令の基準を満たしているかどうかを国が審査する制度です。
型式指定を受けると、メーカーは国による1台ごとの検査を省くことができます。
ダイハツは、この型式指定の認証試験で、様々な不正を行っていました。
例えば、試験データを改ざんしたり、試験車両を不正に加工したり、試験方法を適切に実施しなかったり、といったことです。
中でも、最も悪質だったのは、側面衝突試験での不正です。
側面衝突試験とは、車の側面に衝撃を与えて、乗員の安全性を測定する試験です。
この試験では、衝撃を検知してエアバッグを作動させる電子制御装置が重要な役割を果たします。
しかし、ダイハツは、この装置をタイマーで操作して、エアバッグを不正に作動させるという手口を使っていました。
これは、車の安全性を蔑ろにする悪質な行為で、国交省は「型式指定の信頼性を根本から損ない、我が国の製造業への信頼をも傷つけるものだ」と厳しく批判しました。

【型式認可とは?】


まず、型式認可とは何かを理解することが重要です。型式認可とは、自動車が道路運送車両法に基づいて定められた国の安全基準や排ガス基準をクリアしていることを国が認める制度です。
この制度は、国民の安全を守ると同時に、環境保護にも寄与しています。
具体的なプロセスとしては、まず自動車メーカーが新型車や改良車を市場に投入する際、国土交通省に型式認可の申請を行います。
この申請には、車両の詳細な仕様や性能試験の結果などが含まれます。
申請が受理されると、国土交通省は車両が安全基準や排ガス基準に適合しているかを審査します。
この審査には、衝突安全性やブレーキ性能、排ガスのクリーンさなど、多岐にわたる項目が含まれています。
審査は厳格に行われ、一定の基準を満たしていない車両は認可されません。
型式認可を受けた車両は、日本国内で合法的に販売や使用が可能となります。
これにより、消費者は安心して車両を購入し、利用することができるのです。
しかし、型式認可は一度きりのものではありません。車両の仕様変更や新しい安全基準の導入などにより、継続的な審査が必要となることがあります。
自動車メーカーは、常に最新の基準に適合するよう努める必要があるのです。
最後に、型式認可制度は、自動車の安全性と環境性能を確保するための重要な仕組みです。
私は、20年以上トヨタ自動車で型式認可に関わる仕事をしてきました。
今回のダイハツ不正認証問題について、だいぶ情報が出揃ってきたのでブログに書いてみようと思いました。

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