けったいな店主のいる店
noteの皆さま、旅先で入った地元の飲食店が「なんか緊張走る」雰囲気だったことってあるだろうか。
今までもごくたまにそういうお店に入ってしまったことってあったのだが、今回のお店はちょっと衝撃が強すぎたので夕刊UNIに紹介しようと思う。
兵庫県の山間部にあるこのお店。
宿泊したホテルで夕飯を食べずに、地元の店でおいしいものを探しにいこう!と探して向かったのがこの店であった。
本当にポツンと建っているので一度通り過ぎてしまったのであるが、Uターンして無事そのお店に到着した。
入り口は田舎の家の引き戸で、網戸がかかっている。
そして看板には
「今日は真面目に営業中!」の文字が!
なんかあかん感じ?
おそるおそるuni家が入っていくと、また衝撃のビラが壁に貼ってあった。
「愛想もなにもないお店です。」
uni家全員絶句。無言で互いの顔を見つめ
「あかんあかん!出るなら今や!!」
あかんあかん!の意思疎通はできるものの、いまさら感があって逃げ出すタイミングを逃してしまったのである。
仕方なくそろそろ店の中に足を進める。
もちろん、愛想もなにもないお店です。の宣言通り、いらっしゃいませー!の挨拶はない。
カウンターには白髪の長髪を一つに結わえたオヤジとその後輩のような人が2人。そこの上だけファンがクルクル回っている。
カウンターの中には不愛想なおばちゃんが一人。カウンターの後ろにはびっしりとグラスが並び、キープ酒よりも面積を占めている。そしてテレビではオールスターが流れている。
酒場なのか、定食屋なのかさっぱりわからんコンセプトの店である。
案内もなしなので、とりあえず店内の大きな木の一枚テーブルに座った。
長い椅子にはおばちゃんの手作りと思われるパッチワークで作られた長座布団が敷き詰められており、これもまた不思議さを醸し出していた。
とりあえず生いっちょ!と言える雰囲気ではなく、ただひたすらおばちゃんが注文を取りに来てくれるのを待つ間のこの緊迫感。
店内をずーっと見渡し視線は泳ぎっぱなしのuni家4人であった。
しかたない、メニューでも見てみよう。
自分と夫はそばセットにしようか・・・とヒソヒソ相談し、ドカ弁は、じゃ、四元豚カツ丼にしょっか・・・とつぶやき、ちゃっかりはすっかりおびえた様子で、ちゃっかりはお腹すいてないから冷奴だけでいい・・・と泣きそうになっている。
5、6分間の気まずい時間を打ち破るように、ようやくおばちゃんが注文を取りにきてくれた。
「えーっとそば定食二つと・・・」と言い出した途端、
「全部は覚えられませんので書きますねー!」といって注文票を取りに再びカウンターに戻るおばちゃん。
普段ならキレてしまいそうな場面であるが、愛想も何もないお店です宣言されているのを承知で入ってしまったもんだから、自己主張しにくいのである。ぐぬぬである。
やっとこさ無事注文が通り、ほっとしたので一服したくなった。
と、その時窓のほうでゆらゆら揺れるふなっしーと踊らないフラワーロックが目に入ったのである。
禁煙!ご丁寧にきんえんとふりがなまで書いてくれている。
くーっ!冷房も入っていない蒸し暑い店内で、夕方6時を過ぎた時間帯に10分以上待っても生ビール一杯手にできていない状態で、一服したい気持ちまで禁止されるとは!このやってられない感を一層イライラさせるこの揺れるふなっしーと踊らないフラワーロック!
すべては始まりからわかっていたことじゃないか。
「愛想も何もないお店です。」って書いてたじゃないか。
そう自分たちに言い聞かせ、ひたすら我慢して料理が運ばれてくるのを待った。
一番先に出てきた料理はちゃっかりの冷奴であった。
これがまた予想以上にオシャレな盛り付けでしかもむっちゃ旨かったのである。
次にやってきたのが夫と自分のそば定食であった。
そばもコシがあっておいしい。野菜ばかりの天ぷらであるが、どれもこれもサックリした衣に野菜の甘味や旨みがしっかり包まれていて旨い!かぼちゃの中の種とワタまで衣をつけて揚げられていた。初めて食べたがおいしい!
胡瓜のぬか漬けもとてもおいしく、たぶん手作りと思われる塩昆布もおいしい。そして何よりご飯がつやつや炊きたてでとっても美味しいのだ。
なに!?このお店は!味で勝負なんか!?箸の紙には味とあるし。店名は味ではないのがまたおもしろい。
最後に出てきたのがドカ弁注文の四元豚カツ丼!
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