歩合制導入について
夏祭りの季節である。
毎年この季節になると、納涼祭、盆踊りとお祭りが続くので子どもたちは大喜びであるが、大人は本当に大変なのである。
ドカ弁が6年生の頃、くじ引きで校区子ども会長にあたってしまったことがあった。
それはもう、地域の一員としてがんじがらめに拘束され、死ぬほど働いた一年であった。
納涼祭も校区子ども会主催、地域の重鎮方を中心にした自治会が共催というとても責任が重い仕事であった。
祭り当日に雨が降れば延期、翌日も雨が降れば仕入れた材料はみんなパーである。
かき氷なんて氷が溶けるし、フランクフルトなんて大量に余ってしまったらどうしようもない。
開催までには保健所、消防、警察への申請などめちゃめちゃ複雑な手続きを全て済ませないと開催できないのである。
納涼祭を開催するにあたって例年までやっていたやり方に目を通したのであるが、なんと無駄の多いことか。そして引継ぎの一言メモには、先代、先々代と順に会長になった方が皆同じように書いておられるのだ。
「来年はやり方を変えても良いと思う。負担は減らし・・・」
こんな感じで。にもかかわらず全くシステムが変わった様子は見られない。
それでとりあえず、変えれるべきは変える、よりよいやり方にするためには発展的な解消、役員に対する労いを考えるなら売り上げの一部を働いた人へ還元するなど、色々思いつくことを実行しようと考えたのである。
まず、仕入れは全額校区子ども会費から仕入れていたのを各地区ごとに仕入れ手数料を5%徴収することにした。雨が降ろうが、開催が中止になろうが誰も懐が痛まない仕組みでは無駄な仕入れを大胆にしてしまうと考えたからであった。
これによって仕入れ単価は総額でかなり少なくなった。自分たちの地区からの負担を減らそうと皆が考えたからである。
そして、例年売り上げ金を一律10,000円で各地区に還付していたものについてもそれに加えて歩合制を取り入れ、一律還付の10,000円は地区に還付、それ以上に売ったものについての売上金については、売上額の7%を汗を流して頑張った役員のお母さんたちに還付、お好きに皆でお使いください!金券にしてもよし、皆でお疲れさん会を開催するならその一部に使ってくださーい!ってのを打ち出してみた。
例えば、ジュースを酒屋で仕入れてきて売るだけの地区と、朝から早々に準備してフランクフルトだの焼肉ドッグだのを焼いたり炒めたりして奮闘して子どもたちのために汗を流す地区とが、売上の還付金が一律は不平等じゃないのかってことに気がついたからである。
結果、皆が仕入れを慎重にし、売り上げが歩合制となれば売ったら売っただけ自分たちのものになるんやわ!ってやる気に火をつけたようで、売り上げは過去最高、各地区、一律の10,000円の還付以上に大幅に売り上げを伸ばし、頑張ったお母さん方にお金が舞い込んだのである。
自分の地区も焼肉ドッグは完売し、黒字額が30,000円を超えた。
皆でむちゃくちゃ喜んで、お疲れさん会を翌週に開催したのであった。
「自分らで働いた分、お金が還付されて、その働いたお金でこうやってみんなで美味しいお酒を飲めるなんてめっちゃ嬉しい!」
皆がとても充実した時を過ごした興奮を熱く語ってくれ、本当に楽しい思い出になったのであった。
目的もなく、いやいやながらにただやり過ごしていても手間も時間もおんなじように自分から体力も気力も奪っていくものである。
それならば、色々考えて失敗しても、えらいすいませんでした!で話が済む範囲についてなら、精一杯楽しんで思い切り汗を流すのも心のためにはとても良いことなのではないかと思う。
さて。そんなことを思い出しながら、今年も暑い夏を乗り越えて無事に楽しく祭りが開催されているのをみると、自分がやった時のことが思い出され、役員のお母さん方には本当に頭が下がる。
子どものため、地域のため、果ては自分自身のモチベーションをあげるため、お母さん方は日々頑張っているのである。
子どもたちはどうであろうか?
成績が絶対評価になり、子どもたちの競争力が落ちていると言われている。
成績も先生のご機嫌をとる子が高い下駄をはかせてもらうような有り様であるが、歩合制というものを学校教育にも取り入れてもらいたいものである。
ノートの字が綺麗だからA評価で、テストは70点以下でも5がつく子。
ノートの漢字の宿題が1文字抜けていたからB評価で、テストが80点以上でも3がつく子。
こういう不平等感を子どもたち自身が一番に感じているのではないだろうか。
これが逆にこう言われたらどうだろう。
「ノートはA評価でもテストが80点ないと残念ながら3しかあげませんが、テストで80点以上ならノートがB評価でも4はあげますよ!さらにノートがA評価なら5も夢ではありませんよ!」
子どもたちは、俄然やる気が出るのではないだろうか?
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