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ケラトアカント-マって何?④

恐竜図鑑にでも載っているような名前の病の正体にたどり着くまでの何が何やらとは。

生まれて初めて生検なるものを受けた直後に待ち構えていたのは、マイナス196度の世界。液体窒素を使ってのイボ退治である。

1週間~10日ごとに病院に通い、煙がムクムク出ている液体に浸した綿棒を鼻の中にできたイボに押し付けられるという、まさに拷問のような治療を7月初めから中旬にかけて行ったのである。

前週に焼いた部分のかさぶたをピンセットで取り除くというおまけつきなのだから、どこまで行っても痛み地獄。

「ずいぶんとイボが取れてきましたよ!」

医師からそう告げられ、ようやくゴールが見えてきたと思っていたのであるが、一つ気になることが出てきたのだ。

たしかに鼻の中のイボは小さくなっている感覚があった。

しかし今度は鼻の穴の下あたりが腫れているような気がする。

気になって指で押してみると痛い。

「先生、この鼻の下の部分が腫れてるんです。しかも痛いんですけれど。」

医師にそれらの症状を訴えてみると。

「あぁ、液体窒素でやけどさせてるのでね。周りが腫れることはよくあることなんですよ!」

そうなのか。治っていく過程で通過する痛みなら仕方ないよな。

そう思い前向きな気持ちで病院を出たのが7月15日。

しかしちょっと腫れているどころでは済まなくなり、痛みも激痛といっても言い過ぎではなくなったのが翌週の7月22日。

翌日の7月23日が診療予約日だったので、駆け込むように再びがんセンターへ。

「先生、尋常じゃない痛みです!!このお化けみたいなおでき、液体窒素の影響の腫れじゃないですよね!?」

まるで蜂の巣のように大きなおできを見せながら医師に訴えたところ。

いつもの担当医が責任者の医師を呼びに走ったので、これは只事じゃないなと思った私。

責任者のベテラン医師は私のおできを見てこう言ったのだ。

「これはKAかもしれないな。その奥のかさぶたが外れたらこれも取れるかもしれない。様子をみようか。」

KAってなんやねん!取れるかもしれない?様子をみようか?

頭が爆発しそうになりながら、KAって何のことなのかを質問してみると。

「ケラトアカント-マの疑いがあります。8割以上は良性腫瘍、2割程度は悪性腫瘍のケースがある腫瘍です。」

ちょっと待って。

ガン疑いからの生検なるものを初体験。

イボだったよ診断がついて、ひと安心。

ひと安心からのマイナス196度世界、液体窒素地獄へようこそ。

そして再び悪性腫瘍の可能性へ。

振り出しに戻ってるやん!!

これは何かの冗談なのか?

「先生!液体窒素してた意味は?イボじゃなかったの!?」

ワナワナしながら医師にそう詰め寄ると。

「もしかしたら鼻の中のイボがこのKAだったのかもしれない。」

え~!え~!!

そんなことある!?

次回最終回に続きます。







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