ドカ弁机

ドカ弁とちゃっかり

この姉妹は本当に性格が違うし、得意分野も違う。

「子は産んでも心は産まぬ。」亡くなった祖母がいつも言っていた。

同じ親が、同じように愛情をかけ、同じものを食べさせ、分け隔てなく育てていても性格というものは持って生まれたものも大きいのだと最近つくづく思う。

この机はドカ弁の机。というよりもはや物置である。

ドカ弁は整理整頓ができない。とにかく積み上げる。なんでもかんでも手の届くところにおくのだ。

対してちゃっかりの机はこんな感じである。

可愛いものを集めたがり、机をきちんと整理しようとつとめている。
一週間に一度はゴミ袋を準備し、要らないものを処分するようにしているから、机はすっきりしている。

ドカ弁は算数が得意で、小さなころからマイナス計算なるものを自分で思いつき、誰も教えていないのに、15-9=6の答えを導くのに、5から9は引けないから、9から5を引く。答えは4になる。でももともと引けなかったんだから、10から4を引く。答えは6になる。こんなことを言い、算数を楽しみながら解いていた。しかし、いまだに針でゼッケンを縫い付けるのに自分の着ているシャツと一緒に縫い付けてはパニックになるという不器用ぶりで家庭科の実技はからっきしなのである。

ちゃっかりはドカ弁と真逆で、算数がかなりの苦手教科である。もうなんというか、1個新しいことを覚えるのにものすごく脳みそを使うようで、勉強が終わるとグッタリしているのである。お脳が疲れるって感じで。
しかし、マスコットを作ったり、雑巾を手縫いしたり、魔法のようにサッサと縫い物は仕上げていくのである。家庭科は大の得意。

勉強も大切だが、読み書きができ、さっさと整理整頓ができ、ほころびもサッと縫える能力というのも、生きていくうえではかなり便利な能力である。

得意なもの、不得意なものがあるから、足りないものを補い合おうとする関係が成立するのかもしれない。この姉妹は互いにダメな部分を理解しているが、相手のその痛い部分に塩を塗りこむような意地悪を口にしない人間に育ってくれていることだけは、本当に良かったと思っている。

2014年8月31日の夜。
夏休みの宿題が終わっておらず慌てふためく、とんちんかんな姉妹を横目で見つめながら、完璧でなくても良しとしようではないか!と自分を慰めるバカ親は、ここにいる自分であった。

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