フーリガン対策

本日より2014FIFAワールドカップが開催される。

サッカー大好きなドカ弁が異様に盛り上がっている。
試験勉強よりこちらを優先することは目に見えているので頭が痛いが、4年に一度の大会、日の丸を背負った日本のエースたちの活躍をLIVE中継で観たいというのはサッカーファンなら皆同じ思いなのだろうから好きなようにさせようと思っている。

ワールドカップといえば、熱狂的なサポーターによる「フーリガン」が巻き起こすいちびりすぎ(度が過ぎて調子にのること)が問題視されることもしばしばである。

今から時をさかのぼること12年前。
2002年FIFAワールドカップが日本と韓国で共同開催された時の話。

ショッピングセンターにはたくさんの人が集まっている。
そこにフーリガンとやらが来て暴れ出したらどうなるか。

会社はそのことばかり心配し、何度も何度もフーリガンたちが暴れまくる過激な映像を見せられ、お偉方はいかにフーリガン対策が重要で警備はどのように配置するのか、営業時間の延長を申し出てきているテナントへの配慮にどう応えるのか、そんなことばかりを会議で話し合っていた。

「unimanさん!フーリガンて怖いな!どないしてあんな暴れるの警備するんや?」
「シャッターとか燃やされたりしたらどうしましょ!ほんま恐いわ!」

テナントさんからやいのやいのと不安の声が寄せられて管理事務所は対応に追われていた。

純粋にサッカーが好きで応援したいサポーターからすれば大変な偏見で迷惑な話なのだが、人命には変えられないと言われてしまうと返す言葉が上手くみつからず、ただ一日一日開催日が近づいてくるのを不安に感じていた。

そしてワールドカップがいよいよ開催された。

初戦はベルギー戦。引き分け。勝ち点を獲得すると日本中のサッカー熱がさらに盛り上がった。

本社は「フーリガン対策強化!」と身構え、管理事務所にも警備体制をさらに強化せよとやいやい連絡が入ってきた。

緊張に身構える自分たちをよそに、特に問題もおこらず、お気に入りの選手のユニフォームを着てショッピングセンターを楽しげに歩く行儀のよいサポーターの姿がたくさんみられた。

次戦のロシア戦にも1-0で勝ち、ワールドカップ初勝利に日本中が沸いた。

今度は勝ったからいよいよ危ない!調子のるやつも出てくる!負けた国のフーリガンが暴れる可能性も出てくる!「フーリガン対策をさらに強化!」また本社から警備体制についての連絡がじゃんじゃん入ってきた。

なんかおかしい。
フーリガン対策している自分らに酔ってないか?
てかフーリガン対策にいっぱい金使って警備を強化してやってるのになんも事件が起こらんとはどういうことやねん!って話になってきてないか?

そんなことを感じながら勝ったその日の試合終了後を迎えたが、初戦同様全く問題はなく、行儀のよいサポーターたちが楽しげにショッピングセンターを訪れ、テナントの売り上げも伸び、良い雰囲気で閉店を迎えた。

そして決勝トーナメント進出を決める運命の試合を迎えたチュニジア戦。
日本は2-0で勝ち、グループリーグ1位で初の決勝トーナメント進出を決めた。テレビでは沸き立って喜ぶ日本各地のサポーターの姿が映し出された。

いよいよ今度こそはフーリガンと化したサポーターが暴れまくるに違いない!「全力でフーリガン対策に集中!」興奮気味に本社から警備体制についての連絡がなり続け、今どのあたりにサポーターがいるはずやから、何時くらいにはショッピングセンターに到着するはずである!備えるように!

もはや戦のような雰囲気である。

しばらくすると警備中の保安員から防災センターに緊急連絡が入った。
皆に緊張が走った。無線に耳を傾ける。

「現在〇〇あたりで暴動が発生!」

「〇〇あたり了解!どういった状況ですか?どうぞ!」

「現在暴れているのは阪神タイガースのファンです!どうぞ!」

「阪神タイガースのファンとみられる集団が暴れているのですね?どうぞ!」

「はい!勝ったみたいでだいぶ呑んでます!暴れています!どうぞ!」

「いつものことですね。対応よろしくお願いします。どうぞ!」

一瞬緊張が走ったあとの無線のやり取り。

「なんや!また阪神ファンか!まぎらわしい!」

防災センターと管理事務所に爆笑の声が響き渡った。

結論。
ショッピングセンターのフーリガン対策強化は特に必要なかったようである。

阪神タイガースの熱狂的なファンは勝って嬉しければ呑み、負けて悔しくても呑む。
呑んでしまえば、ただの酔っ払い。

サッカーを愛する人も阪神タイガースを愛する人も基本はコレが好きなんだよ!って姿勢に変わりはないし、一部の過激に迷惑をかける人たちの行動に踊らされてしまうばかりでは安全対策の本質を見失う。

そのことだけは学べたフーリガン対策騒動であった。






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