先生って?

このたび、某企業さまより30周年式典のプログラムに載せる書の依頼を頂いた。ありがたいことである。

依頼された文字は「夢」である。

夢。とても素敵なことばであるが、書に気持ちを載せるのがとても難しいお題であった。

若い人ががむしゃらに追い求める清々しい夢。

何年も持ち続けている大切な夢。

道半ばで消えてしまいそうな、でもあきらめたくない夢。

老いて新しく見つけた夢。

眠るときに見る夢とは違う、「夢」。

これについては、色々考えながら何枚も何枚も書き続けた。

依頼主である企業の社長さんは、とても誠実で真面目な方のようなのできちんとした隙のないかっちりした「夢」がお好みなのだろうか?いや、そういう方ほど心の奥には熱く燃える炎を燃やしておられるのだろうか?いやいや、燃える炎どころじゃない斬り倒したろか!ゴラァ!という荒々しさをお持ちなのであろうか?待って、やはり30周年記念式典にきちんとしたプログラムを準備するような会社の社長さんなら、和を持って皆で頑張りましょう!というたおやかさを表現したいのでは?

作品を書く過程で一番大切にしなければいけないのが平常心である。

にもかかわらず、ご依頼くださった会社の社長さんのお人柄を想像しすぎてしまい、好奇心の方が先走りしてしまったため平常心が好奇心にやられっぱなしでなかなか書のイメージが固まらず悶々としていたのである。

こうなったら仕方がない。
自分の好奇心から想像した社長さんがお持ちの夢のイメージを4つ。
隙のないかっちりした夢。心の奥でメラメラ燃える炎のような夢。やるんかゴラァ!の荒々しい野性的な夢。和を持って皆で守る夢。

4枚の書を書き、お好きなものをお選びいただこうと提出したのであった。

先日、noteで「夢、叶いますように!」で出した「夢」は、この4枚の中で一番に選んでいただけそうだと自分で思っていた書であった。

が、予想を大きく裏切り、社長さんが選ばれた書は、やるんかゴラァ!の荒々しい野性的な夢であった。

30周年という節目を境に、野性的に攻めていきたいという願いと誓いを込めて選んでいただけたのかもしれない。自分の筆の持ち味は情熱的な運筆であるので、それがお喜びいただけたのであれば幸いである。

そして先日、その会社から連絡が入った。

「雲泉先生のプロフィールを書の横に掲載させていただきたい。略歴などをお教え願えないでしょうか?おもに活動されているお仕事なども併せてお願いしたいのです。」

先生?誰が?自分が?確かに自分は書道の有資格者である。
お師匠さんという呼び名は不自然ではないが、先生って呼ばれるのは妙な気分なのである。くすぐったいような、なんだか偉くなってしまったような。

今世間を騒がしている、兵庫県の元某議員「誰が誰に投票してもおんなじやおんなじやゆーて!うぁーん!」のアホなおっさんも、先生先生!と持ち上げられて自分を見失ったんかもしれへんなーとちょっと思ってしまったのであった。

出来上がった雲泉先生のプロフィールの一部を紹介しておこう。

近年はインターネット上のクリエータSNSサービスnoteを中心にご活躍中。noteアカウント unimam
 [公式] http://note.mu/unymam

すごい!雲泉先生誕生である。えらいこっちゃ。うぁーん!
アカウント名はunimam[公式]であるが、アドレスの前に[公式]がきているのが本格的であった。

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