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詩ことばの森(209)「むかしむかし」

むかしむかし

僕は気の利いたカラスに
川沿いの道で出会ったのだ
誰もいない岸辺を睥睨しながら
彼は僕の影を
気にする様子もなかった

ムカシムカシ
カワニハ シタイガナガレツイタ
ソノナカスニ ムラビトハ
オハカヲ ツクッタソウナ

むかしむかしの伝説を
僕は歩いていたのだが
すっかり変わってしまった川沿いの道は
きれいすぎて カラスも僕も
落着かないまま 
右往左往しているばかり

(森雪拾)

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