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詩ことばの森(191)「無常の淵」

無常の淵

かつては空も青かった
空ばかりか街もみな
なにやら澄んでいたのだが
夜には無数の星が輝き
つきることない
世界が広がっていた

けれども年が経るほどに
青色はくすみだし
空に飛ぶ怪しげな鳥ばかり
夜の闇を覆う気配は
深い淵となって
暗い水を湛えていた

淵に佇む
水神の石祠は苔むし
時の流れの留まることなく
この世に変わらぬものの
無いことを示していた

(森雪拾)

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