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詩ことばの森(93)「白梅の花」

白梅の花

長い旅の果てに
冬の町をさまよっていた

なにかを求め
なにも見つからず
僕はただひたすらに歩いていた

古いお寺の横に
梅の木が生えていて
白い蕾を
いくらか咲かせていた
誘われるように近づくと
懐かしい香りがした

僕はいつこの香りを知ったろう
思い出せなくても
僕に生きる力のようなものを
与えてくれる
懐かしい白梅の花

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