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「追憶と、踊りながら」

約一月ぶりに、映画館に行った。家でDVDを見るのは、気楽でそれもそれで好きなのだが、やはり私は「映画館で映画を観ること」が好きみたいだ。その雰囲気だけで、幸せになれる人種なんだろう。

この映画はベンさんが主役なので、かなり前の段階からチェック済みだったが、インディペンデント系の作品なので、日本公開はないと思っていたので、映画館で見られて、本当に嬉しい。
(因みに、ベンウィショーは私が一番才能が未知数にあると思っている俳優だ。そして、大好き!)

カメラのショットが、わざと寄り気味なのだが、それに負けない俳優陣の繊細な表情が素晴らしい。
言葉が通じなくてもダメだけど、通じすぎてもダメなんだ。そこに、本心があるのか無いのか忘れてしまうから。

癒えない傷を言葉じゃなく、ただただ同じ時間を共有することで分かち合うこと。痛みは取れなくとも、その存在に助けられること。

あと、中国語を全く勉強したことがない自分は、その音の響きがとても美しく、歌のように感じた。

文化の違い、同性愛、移民と多くの難しい問題を取り扱ってはいるけど、とても自然体な映画だった。そして、全て自分の遠いところの問題だったものが、実はすぐ近くにある気にさせられた。

なんと、監督はこれが長編第1作目なんだとか!今後に否が応でも期待してしまう。

最後に、私はよく映画の邦題が気に入らないことが多く、それならば原題のままにしてくれと、よく思う。
ただ、今回の邦題のつけ方はなかなかセンスを感じた。原題の"lilting"もとっても素敵なタイトルだが。